世界一のヘッジファンド”ブリッジウォーター・アソシエイツ”の創業者、レイダリオ氏。彼の投資哲学や経済予測は、世界中の投資家から注目を集めています。
彼は独自の経済サイクル理論に基づき、市場の動向を的確に予測することで巨万の富を築いてきました。近年では、中国経済の行方に警告を発し、話題となっています。
本記事では、レイダリオ氏の経歴や投資戦略、最新の経済予測までを詳しく解説。さらに、彼の提唱する「オールシーズンズ戦略」に基づいたポートフォリオや、日本版「黄金のポートフォリオ」についても紹介します。
目次
レイダリオとは?経歴・家族・資産など
現代における「ヘッジファンドの帝王」とも呼ばれるレイダリオ氏。世界最大のヘッジファンドの創業者であり、卓越した投資哲学で知られています。
まずは、レイダリオ氏の経歴や家族、資産について解説。また、彼の著作である「経済と投資の原則」や「経済の仕組み」についても紹介しましょう。
プロフィール
レイダリオ氏は、1949年8月8日生まれのアメリカの投資家、ヘッジファンドマネージャーであり慈善家でもあります。世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であり、長年に渡り同社を率いてきました。
彼はニューヨーク州で育ち、12歳の頃、近所のゴルフ場でキャディーのアルバイト収入で株式投資を始めました。その後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得し、メリルリンチでインターンとして商品先物関連業務に従事しています。
以後、シェアソンという会社で先物のヘッジ業務をしていたが、上司と衝突し解雇。これがきっかけで、1975年にブリッジウォーター・アソシエイツを設立しました。
彼の投資哲学は、「経済と投資の原則」や「経済の仕組み」といった著書に詳しく記されており、世界中の投資家から高く評価されています。
2022年10月に、ブリッジウォーター・アソシエイツのCEOを退任していますが、未だに彼の発言には多くの注目が集まり、強い影響力を持っていますね。
主な経歴
レイダリオ氏は、1975年にグローバルマクロ投資戦略に特化したヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」を設立。
当初は自宅アパートの一室からスタートした小さな会社でしたが、彼の卓越した投資戦略とリーダーシップにより、世界最大のヘッジファンドへと成長を遂げました。
株式、債券、コモディティなど、あらゆる資産クラスに投資を行い、世界経済の大きなトレンドを捉えることで、高い運用成績を目指しています。
彼は独自の経済分析モデルとリスク管理手法を開発し、投資戦略に組み込みました。徹底的なデータ分析と客観的な意思決定に基づいており、感情的な判断を排除して、市場の変動に柔軟に対応することを重視しています。
ブリッジウォーター・アソシエイツは、機関投資家や富裕層を主な顧客としており、長年にわたり高い運用成績を収めてきました。
家族構成
現在、レイダリオ氏は、妻であるバーバラ氏とコネチカット州で暮らしています。息子は4人(デボン氏、ポール氏、マシュー氏、マーク氏)で、それぞれ独立し、様々な分野で活躍。
ポール氏とマーク氏は映画関連ビジネスに身を置き、マークは氏非営利団体の創設者でありコンピューター会社社長。
しかし、2020年に長男のデボン氏は交通事故で命を落としています。
資産や年収
レイダリオ氏は、世界で最も成功したヘッジファンドマネージャーの一人として知られており、その資産と年収は驚異的な額です。
2021年時点で、彼の個人資産は200億ドル(約3兆円)を超えたと推定されています。なお、ブリッジウォーター・アソシエイツの運用資産残高は1,500億ドル(約22.5兆円)を超えています。
また、ヘッジファンドマネージャーとしての報酬も莫大な額でした。彼の年収は、ブリッジウォーター・アソシエイツの運用成績に連動しており、数年前に15億ドル(約2,250億円)を超えていたと言われています。
なお、彼は教育や環境保護、貧困撲滅など、様々な分野に多額の寄付を行っており、社会貢献にも積極的に取り組んでいます。
※1ドル=150円で計算
運用SNS
レイダリオ氏の動向はニュースサイトはもちろんのこと、本人が行なっている各種SNSから情報を得ることもできます。最も更新頻度が多いのはツイッターです。
しかし、投資に関わる内容は少ないです。レイダリオ氏の人生訓や、日常生活について知りたい方はフォローしておくと良いでしょう。
レイダリオの予測最新情報(2024年)
次に、レイダリオ氏の予測最新情報を紹介しましょう。彼は、知中派として良く知られていますが、2024年の予測では、中国経済の先行きについて懸念を表明。
併せて、彼の運用を個人向けにアレンジしたポートフォリオ「オールシーズンズ戦略」と、日本の投資家が利用しやすい日本版「黄金のポートフォリオ」を説明します。
中国経済に警告”100年に1度の大嵐”
2024年に入りレイダリオ氏は、中国経済の将来に対して、非常に悲観的なシナリオを描いています。従来、彼は知中派として知られており、中国経済への期待から投資も行っていました。
しかし、中国が1990年代の日本と同じ轍を踏む可能性があると警鐘を鳴らしています。当時、日本はバブル崩壊後、長引く経済の停滞に苦しみましたが、彼は中国も同様の状況に陥る可能性があるとのこと。
2024年4月、レイダリオ氏は自身のLinkedInへの投稿で、中国が「100年に一度の嵐」に直面する可能性があると述べました。
彼は、「膨大な負債が積み上がり、貧富の格差が開くのと並行して、国内外で大きな権力闘争が生じ、自然界が激変し、テクノロジーの大きな変革が進むとき、『100年に1度の大嵐』が起こる可能性が高まる」と寄稿しています。
中国経済は、不動産バブルの崩壊、過大な債務問題、そしてアメリカとの地政学的な緊張の高まりという、3つの大きな課題に直面。
さらに、2020年後半のアリババ共同創業者ジャック・マー氏に対する処置をはじめ、中国共産党による民間企業への取り締まり強化も、海外投資家の中国経済に対する信頼感を損ねています。
彼はこれらの問題が複雑に絡み合い、中国経済を「100年に一度の大嵐」へと導く可能性があると警告しています。
紙幣とゴールドの違いを解説
レイダリオ氏は長年に渡り、金(ゴールド)をポートフォリオに組み入れる重要性を説いてきました。彼は紙幣とゴールドは根本的に異なる資産であり、それぞれに異なる役割があると主張しています。
紙幣は政府によって発行される法定通貨であり、その価値は政府の信用によって支えられています。政府が財政赤字を拡大したり、通貨を増発したりすると、紙幣の価値は下落する可能性が…
一方、ゴールドは希少性があり、普遍的な価値を持つ実物資産です。有限の資源であり、その価値は政府の信用に依存しません。
そのため、インフレや経済危機が発生しても、ゴールドは価値を維持する可能性が高いです。
彼は歴史的に見て、紙幣はインフレや政府の政策によって価値が下落するリスクがある一方、ゴールドは価値を維持する傾向があると指摘しています。
特に、経済危機や地政学的に不安定な時期には、ゴールドは安全資産として機能し、投資家の資産を守ると指摘しています。
ビットコインは”非効果的”
以前、レイダリオがビットコインを保有していることがニュースになりました。
分散投資を行うレイダリオらしく、様々な投資商品に手を伸ばしている様子。イチ投資家が仮想通貨を購入しただけで、Forbesに取り上げられています。
このニュースが出たときも、話題の中心はレイダリオが考えるビットコインに対する見解でしたが、最近は、ビットコインは価値の保存手段や交換手段としては「非効果的」であると述べています。
ビットコインが抱える問題点として、価格変動が激しいため、価値の保存手段としては不適切である点を指摘。
また、ビットコインは政府によって規制ができ、その場合は価値が大幅に下落する可能性があると警告しています。
レイダリオの実績
レイダリオ氏が投資家たちから支持されている理由は、レイダリオ氏の投資能力を認めているからでしょう。
- 20年間、年平均利率12%のヘッジファンドを立ち上げた
- リーマンショックを事前に予測しほぼ無傷で切り抜けた
- 運用資産額は50億ドル ⇒ 1400億ドルへ
レイダリオ氏の過去の経験則からくる相場観は、会社経営を退いた今でも多くの投資家から注目を集めています。
20年間、年平均利率12%のヘッジファンドの立ち上げ
レイダリオが創設した”ブリッジウォーターアソシエイツ”は機関投資家を中心に資産運用を行う世界最大級のヘッジファンドです。
ブリッジウォーターアソシエイツが提供する代表的ファンド「ピュアアルファ」は、1991年の12月に販売開始して以来、年平均12%のリターンを実現しています。
S&P500の年平均利率が9.3%であることを考慮すると、その数字の凄さがイメージしやすくなるでしょう。
このようなリターンを上げることができたレイダリオ氏の投資戦略は、単一の金融商品に資金を集めすぎないポートフォリオの作成。
今でこそ当たり前になった分散投資の考え方ですが、レイダリオ氏が作成するポートフォリオでは投資先の金融商品も多岐に。
一つの投資先が資産に影響を及ぼすこと割合をなるべく減らし、価格変動のリスクを抑えこみます。
ピュアアルファに含まれる主な投資商品
- 債券
- 株式
- 通貨
- 株価指数
- 商品
ピュアアルファはもちろんのこと、「オールウェザー」や「ピュアアルファメジャーマーケット」など他に販売している商品でも、価格変動を抑えつつ利益を狙うポートフォリオが作り出されています。
海外には有名なヘッジファンドが数多く存在しますが、日本発のヘッジファンドというのは聞いたことがありません。
リーマンショックを事前に予測しほぼ無傷で切り抜けた
レイダリオ氏の経済動向の先読み力はピカイチ。リーマンショック時に、ブリッジウォーターアソシエイツは利回りをプラスにすることに成功しています。
驚くべきことに、レイダリオは不動産バブルの崩壊が近いことを予見していました。
ダリオは、米国の住宅ローンのブームが2007年に終わることを予見し、ワシントンの財務長官と会い、住宅ローン担保証券に深く投資している大手銀行が危機に瀕していることを警告しました。
Raydalio
レイダリオは米国財務省に出向き、この件について米国財務省長官に内容を報告。しかし、その予測はまともには受け取ってもらえなかったといいます…。
当時はまさか米国を代表する企業が倒産するだなんて夢にも思いません。
…その後の流れは皆さんご存知の通り。リーマン・ブラザーズの倒産を皮切りに世界経済は大不況へ突入。
S&P500はマイナス36%の下落が起こり、日本でも日経平均が26年ぶりの安値を記録しました。そんな中、リーマンショックの影響を受けずに済んだブリッジウォーターアソシエイツ。
リーマンショック以後、レイダリオ氏の今後の見解が注目されるようになったのは言うまでもありません。
運用資産額は50億ドル⇒1400億ドル
レイダリオがアパートの一室から始めたブリッジウォーターアソシエイツには、次第に多くの資産を運用するようになります。
1990年代半ば | 50億ドル |
2003年 | 380億ドル |
2007年 | 500億ドル |
2010年 | 1000億ドル |
2021年 | 1400億ドル |
運用する資産総額は驚異的なペースで増加。1400億ドルというと、ノルウェーやスウェーデンの国家予算とほぼ一緒です。
「一社のヘッジファンドが、国全てをまかなえる資産を運用している」と考えると、運用資産のダイナミックさを体感できることでしょう。会社設立当初から運用資金が大きかった理由は2点。
1つ目は、レイダリオが証券会社に勤務していた当時のツテがあったこと。2つ目は、マクドナルドやナビスコといった世界的企業にも経済的アドバイスを販売する活動を通して、実績と信頼を集めていたことが挙げられます。
レイダリオ主導の投資は瞬く間に利益を生み出し、「優秀な投資実績を上げた会社」として様々な賞を受賞します。
- Pensions&Investments誌が選ぶ最高のパフォーマンスをする債権マネージャー(2000年)
- GlobalInvestor Awards for Excellence-Global Bonds賞(2003年)
- CurrencyManager of the Year賞(2006年)
- ヘッジファンドマネージャーオブザイヤー(2009年)
- ヘッジファンドファームオブザイヤー賞(2011年)
評判は評判を呼び、あれよあれよと資産運用の依頼は増加。2006年には「新規投資家の募集をストップ」するまでに至っています。
こうしてブリッジウォーターアソシエイツの運用資産額は世界最大級となり、創設者のレイダリオ氏は「ヘッジファンドの帝王」と呼ばれるようになっていきました。
レイダリオのポートフォリオ
レイダリオ氏が提唱する「オールシーズンズ戦略」は、あらゆる経済状況に対応できるよう設計されたポートフォリオ戦略。これは、彼が率いるブリッジウォーター・アソシエイツで実際に運用されている「オールウェザー戦略」を、個人投資家向けに簡略化したものです。
オールウェザー戦略は、レバレッジやデリバティブなどを組みあわせて投資を行うより複雑で高度な戦略で、大規模な資金を必要とするため個人投資家が踏襲するのは困難かと。
一方、オールシーズンズ戦略は、主に株式と債券で構成され、個人投資家でも比較的容易に実践できるでしょう。この戦略は、「黄金のポートフォリオ」と呼ばれることもあり、その安定性と効率性から多くの投資家に支持されています。
オールシーズンズ戦略に基づく黄金のポートフォリオを紹介
黄金のポートフォリオについて、具体的には、以下の通りの資産クラスに分散投資。
投資対象 | 投資割合 |
---|---|
投資対象 | 投資割合 |
株式 | 30% |
長期債券 | 40% |
中期債券 | 15% |
金 | 7.5% |
コモディティ | 7.5% |
なお、ここでの株式はアメリカ株式、債券はアメリカ債券が想定されていると考えられるでしょう。これらの資産クラスを組み合わせることで、経済状況がどのように変化しても、安定したリターンを確保することを目指します。
たとえば、経済成長期には株式が。インフレ期には金やコモディティが。デフレ期には債券が。それぞれ良好なパフォーマンスを発揮し、ポートフォリオ全体のリスクを抑制します。
オールシーズンズ戦略は、長期的な資産形成を目指す個人投資家に、有効な選択肢の一つと言えるでしょう。
黄金のポートフォリオのメリット
- 安定的な成長リターンが見込める。
- 株が大きく下落するような場面でも、下落幅を抑えられ資産がほとんど減らない。
黄金のポートフォリオのデメリット
- 株式100%のポートフォリオと比べると、期待リターンが小さい。
- 債券比重が高いので、ゼロ金利だとマイナスになる可能性がある。
黄金のポートフォリオは、積極的に利益を取っていきたい投資家には物足りない戦略になっています。しかし、リスクを抑えて、取れるリターンを最大限取りたい投資家には非常に魅力的な戦略と言えるでしょう。
最大の強みは「下げ相場に強い」ことです。試しに、S&P500のパフォーマンスと比較してみましょう。
ボラティリティが低く、安定して右肩上がりに推移していっていることが分かります。
特に、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック時のドローダウンは極小。S&P500と比べてみると、その差は歴然です。
ただ、最終的な利益を見ると、S&P500と1.5倍ほどの差が生じています。リスクに強い分、トータルリターンは少々落ちるという事。
「どんな経済情勢であってもリスクを抑えてリターンを見込める」点においては、十分に役目を果たしていると言ってよいでしょう。
日本版「黄金のポートフォリオ」は山崎元が考案
レイダリオ氏が提唱するオールシーズンズ戦略は、優れたポートフォリオ戦略として知られていますが、元々はアメリカの投資家向けに設計されたもの。
そのため、アメリカ株式とアメリカ債券への投資を想定しており、日本の投資家には、そのまま適用するためには少しハードルが高い面がありました。
そこで、経済評論家の山崎元氏が、日本の投資家向けにアレンジした「日本版オールシーズンズ戦略」を考案。
山崎氏は、日本の市場環境や投資家の特性を考慮し、レイダリオ氏のオリジナルのポートフォリオを改良することで、より日本人に実践しやすい形にアレンジしました。
投資対象 | 投資割合 | 内訳 |
---|---|---|
投資対象 | 投資割合 | 内訳 |
株式 | 30% | 国内株式15% 先進国株式ヘッジなし5% 先進国株式ヘッジなし10% |
中期米国債券 | 55% | 外国債券ヘッジあり15% 長期国債20% 個人向け国債20% |
金 | 10% | ETF |
不動産 | 5% | J-REIT |
日本で投資できる投資信託や債券に対応させているため、日本の投資家には手がけやすいでしょう。
また、インフレ対応資産としてのコモディティを、不動産に変更している点も特徴です。長期的な資産形成を目指す日本の個人投資家に、参考になる考え方と言えるでしょう。
過去ポートフォリオを分析
ブリッジウォーターアソシエイツのポートフォリオから、レイダリオがどんな銘柄に注目をしているのかを見ていきます。
2021年11月13日に開示されたポートフォリオは、以下の通り(9月末時点)。
ブリッジウォーターアソシエイツのポートフォリオ
コード | 銘柄名 | 業種 | 金額 | 保有割合 |
---|---|---|---|---|
VWO | Vanguard Intl Equity Index F | 新興国株 | $1,172,526,000 | 6.42% |
EEM | Ishares Tr | 新興国・中大型株 | $1,014,567,000 | 5.55% |
IEMG | Ishares Inc | 新興国株 | $849,827,000 | 4.65% |
SPY | Spdr S&p 500 Etf Tr | S&P500 | $844,378,000 | 4.62% |
WMT | Walmart Inc | サービス | $700,487,000 | 3.84% |
PG | Procter and Gamble Co | 一般消費財 | $655,318,000 | 3.59% |
NYSE:BABA | Alibaba Group Hldg Ltd | IT・通信 | $487,119,000 | 2.67% |
JNJ | Johnson & Johnson | 医療関連 | $444,777,000 | 2.44% |
KO | Coca Cola Co | 一般消費財 | $439,219,000 | 2.40% |
PEP | Pepsico Inc | 一般消費財 | $402,977,000 | 2.21% |
GLD | Spdr Gold Tr | ゴールド | $392,860,000 | 2.15% |
NASDAQGS:COST | Costco Whsl Corp New | サービス | $382,214,000 | 2.09% |
IVV | Ishares Tr | S&P500 | $355,847,000 | 1.95% |
MCD | Mcdonalds Corp | サービス | $351,630,000 | 1.93% |
SBUX | Starbucks Corp | サービス | $251,580,000 | 1.38% |
ABT | Abbott Labs | 医療関連 | $220,950,000 | 1.21% |
TGT | Target Corp | サービス | $218,294,000 | 1.20% |
DHR | Danaher Corporation | 医療関連 | $214,230,000 | 1.17% |
EL | Lauder Estee Cos Inc | 一般消費財 | $212,020,000 | 1.16% |
PDD | Pinduoduo Inc | 工業 | $174,069,000 | 0.95% |
※運用資産が1億ドルを超える米国の機関投資家に提出が義務付けられているフォームから最新データを抜粋。米国株式のロングポジションのみ公開
レイダリオのポートフォリオは新興国ETFの割合が大きく、上位3銘柄(VWO,EEM,IEMG)でポートフォリオの約16%を占めています。これら3つのETFに共通するのは「中国・台湾の銘柄」をメインに構築されていること。
レイダリオは以前より中国へ積極的に投資し続けています。理由として「中国の成長可能性を信じている」ことが挙げられるでしょう。
以前、レイダリオが受けたインタビューでは中国について「ポートフォリオの重要な一部」と述べています。
投資に関しては、アメリカと中国のシステムや市場にはチャンスとリスクがあり、お互いに競争したり、分散したりする可能性があると思います。したがって、どちらも自分のポートフォリオの重要な一部として考えるべきだと思います。
レイダリオのLinkedin
中国は国による規制が多いイメージが根強いですが、それは国民の利益、ひいては国家の利益に繋がるためにやっていることだと主張。市場の着実な発展や、企業に対する支援、外国人投資家への投資の開放性などを積極的に行なっていると述べています。
レイダリオは、中国が米国と競争し合いながら成長するシナリオを描いているようですね。
個別銘柄に目を向けてみると、アリババ(BABA)やピンドュオドュオ(PDD)など中国のeコマースサービスへの投資も見受けられ、中国に対する期待感が伺えます。
米国株は大手有名企業が多く、ウォルマート(WMT)やコストコ(COST)、ターゲット(TGT)などの小売業。マクドナルド(MCD)、スターバックス(SBUX)などの外食業も見られます。
高配当優良企業のP&G(PG)やコカ・コーラ(CO)など、手堅い動きをする銘柄も組み入れられているようです。
レイダリオの「経済と投資の原則」や「経済の仕組み」
レイダリオ氏は、自身の投資哲学や経済に対する洞察をまとめた著書を出版しており、世界中の投資家から高い評価を得ています。
内容を大きくまとめると以下2つ。
経済と投資の原則
「経済と投資の原則」は、彼が長年の人生から得た教訓や考え方を体系的にまとめたものです。人生哲学や成功哲学といった要素も含んでおり、幅広い読者層から支持されています。
彼は本の中で、経済を巨大なマシン(機械)のようなものと捉え、そのメカニズムを理解することの重要性を説きました。
また、自分が望むことと事実を客観的に捉えて、自身の原則を作り出すことが成功するために重要だと説明しています。
経済の仕組み
「経済の仕組み」は、経済の基礎的な仕組みを分かりやすく解説したものです。経済学の専門知識がない人でも理解できるよう、平易な言葉で書かれています。
レイダリオ氏は、経済を動かす3つの主要な力として、「生産力の成長」、「債務の短期的な周期」、「債務の長期的な周期」を挙げています。そして、これらの力がどのように相互作用し、経済の変動を生み出すのかを解説しています。
著書は、彼の深い洞察と経験に基づいて書かれており、投資家だけでなく、ビジネスパーソンや経済学を学ぶ学生など、多くの人に有益な情報源です。
レイダリオが株式市場に与える影響
レイダリオ氏の動向が、直接的に株価に影響を与えることはほぼなし。
先にも紹介した通り、レイダリオの投資戦略は分散投資が中心。ETFを含めて様々な企業に投資しているので、特定の金融商品に与える影響は見て取れません。
個人投資家の動向で株価に影響を与える可能性があるのは、ウォーレンバフェットのように個別銘柄を中心に買う投資スタイルの場合です。
ウォーレンバフェットの場合は”バフェット銘柄”なんて特集が組まれ、保有銘柄の変化に応じて株価が上下することもあるようですが、レイダリオには当てはまりません。
レイダリオ氏はすでに”ブリッジウォーターアソシエイツ”の経営からは身を引いていますし、直接的に株価を左右することはなさそうです。
投資家の方が注目しているのは、レイダリオの市場についての見解や、相場観でしょう。
レイダリオさんの相場感覚は常に参考にしています。
— カフェ俺 (@keepthinking_it) May 6, 2021
去年3月暴落予想も、一昨年のレイダリオさんの相場見通しを基礎にしてました。
読んでみます https://t.co/DUQRLWNh1V
今回バフェットやレイダリオは槍玉にあげられたが自分は尊敬の念が薄れたことは一度もない。
— kay(けい)米国株式投資🇺🇸 (@Kay_US_Stock) July 4, 2020
彼らの意思決定は常に自分の参考にさせてもらっている
レイダリオはリーマンショックを事前に予測していた過去もありますからね。今後の投資の参考にしたい人が多い様子。
レイダリオの評判
続いて、レイダリオ氏に対する世間の評価を、良い口コミと悪い口コミに分けて紹介します。成功者としての称賛の声が多く、崇拝者も多いですが、多角的な視点から彼の評判を見てみましょう。
良い口コミ
レイダリオ氏は世界最大のヘッジファンドを築き上げた実績はもちろんのこと、独自の投資哲学や世界経済に対する鋭い洞察力は、多くの投資家から尊敬を集めています。
特に著書は、バイブルのように読んでいる投資家も多いようで、複雑な経済のメカニズムを分かりやすく解説した良書として評判です。
彼の意見を明確に述べ、たとえそれが批判的な意見であっても、臆することなく発信する物言いと、徹底的に論理的な思考法も高く評価されています。
また、常にデータや論理に基づいて判断し、感情に流されることはありません。このような姿勢は、多くの投資家から信頼を得ています。
悪い口コミ
レイダリオ氏は経済動向や市場を分析し、未来を予測することに長けていますが、全ての予想が当たるわけではありません。過去には彼の予測が外れ、批判を浴びることもありました。
例えば、1980年代にはアメリカ経済は低迷を迎えると予想していたが、FRBが利下げに踏み切り株価は何年も上がり続け、アメリカの歴史上でも特筆すべき強気相場を記録しています。
また、2017年トランプ大統領の保護主義は世界恐慌の原因になると主張。しかし、結果としてアメリカ経済は好調を維持し、保護主義を原因に世界恐慌に陥ることはありませんでした。
しかし、レイダリオ氏の予測における分析力や洞察力、着眼点は高く評価されており、投資や経済を理解するために、非常に有用であることを多くの投資家が認めています。
【おまけ】レイダリオ名言集
If you’re not failing, you’re not pushing your limits, and if you’re not pushing your limits, you’re not maximizing your potential.
https://graciousquotes.com/ray-dalio/
『あなたが失敗していないということは、限界に挑戦できていないということだ。そして、限界に挑戦していないことは即ち、あなたの可能性を広げられていないのです。』
Remember that the only purpose of money is to get you what you want, so think hard about what you value and put it above money. How much would you sell a good relationship for? There’s not enough money in the world to get you to part with a valued relationship.
https://www.goodreads.com/author/quotes/5289593.Ray_Dalio
『お金の唯一の目的はあなたが望むものを手に入れることであることを忘れないでください。あなたが大切にしていることをよく考えて、お金よりも上に置いてください。あなたはどのくらい良い関係を売りますか?大切な関係を手放すのに十分なお金が世界にありません。』
To make money in the markets, you have to think independently and be humble.
https://graciousquotes.com/ray-dalio/
『市場でお金を稼ぐには、独立して考え、謙虚でなければなりません。』
I learned that if you work hard and creatively, you can have just about anything you want, but not everything you want. Maturity is the ability to reject good alternatives in order to pursue even better ones.
https://graciousquotes.com/ray-dalio/
『一生懸命に創造的に仕事をすれば、欲しいものは何でも手に入れることができますが、すべてではないことを学びました。成熟度とは、より良い選択肢を追求するために、良い選択肢を拒否する能力です。』
『レイダリオ』の口コミ
口コミ一覧
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