「投資家としてはどうなのか?」
パックンこと、パトリック・ハーラン氏の投資手法や哲学、保有銘柄などが気になりますよね。
ハーバード大学卒業という輝かしい学歴を持ちながら、お笑い芸人として日本で成功した方ですから、「どんな投資術を持っているのだろ?」と知りたくなります。
ですが…パックン氏が実践するのは、驚くほど「面白くない」投資法なのです。
派手な大儲けとは無縁の「超保守的」なインデックス投資です。
しかし、その退屈な積み重ねこそが、難しい知識なしで「将来の安心」を手に入れる最も賢く、再現性の高いルートだとしたら…?
この記事では、パックン流の投資哲学から具体的なおすすめ投資信託、具体的なポートフォリオ、さらには著書や評判まで、徹底的に解剖します。
さあ、あなたもパックン流「面白くないけど、老後が面白くなる」投資の世界へ足を踏み入れてみませんか?
パックン流の投資哲学【マインドセットの原点】

パックン氏の投資術を理解する上で、どの銘柄を買うかという「How」よりも、なぜそう考えるのかという「Why」を知ることが何よりも重要です。
そこで、その投資哲学とその原点となったパックン氏の人生経験を確認していきましょう。
パックン(パトリック・ハーラン)の経歴と投資歴
朝日新聞などの情報をもとにすると、パックンの経歴は以下のとおりです。
本名 | パトリック・ハーラン |
生年月日 | 1970年 |
出身地 | アメリカ・コロラド州 |
学歴 | ハーバード大学卒業 |
パックン氏はハーバード大学で比較文化を学び、卒業後に来日。
福井県で英会話学校の講師などを務めた後、1997年にお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。
現在では、コメンテーター、俳優、タレントとして幅広く活躍しています。
投資歴は20年以上。
しかし、パックン氏が本格的に投資を始めたのは、日本に来て芸人として活動し、ある程度の収入が安定してからでした。
そして、その投資スタイルは、パックン氏の生い立ちと切っても切れない関係にあるのです。
原点は「貧しさ」と「奨学金」
パックン氏は経済的に決して裕福とはいえない母子家庭で育ちました。
猛勉強の末にハーバード大学に合格したものの、卒業時には多額の奨学金という名の「借金」を背負うことに。
来日後に真っ先に取り組んだのは、資産運用ではありません。
収入のほとんどをつぎ込んで、わずか2年で数百万円の借金を完済することでした。
パックン氏にとって、借金がある状態は「落ち着かない気持ち」であり、何よりも先に解消すべき精神的な重荷だったのです。
まず借金を返済し、安定を確保してから投資に取り組む。この順序こそパックン氏の哲学の根幹です。

「お金がないと心まで揺らぐ」という現実を肌で知っているパックン氏。
そんなパックン氏だからこそ、「超保守的」な投資スタイルが生み出されたのでしょうね。
「ほったらかし」の合理性
そんなパックン氏も、最初からインデックス投資の優等生だったわけではありません。
投資キャリアの初期、友人に勧められるがままにIT系の個別株に手を出して大損した、という実に人間くさい過去を持っています。

その反省はシンプルです。
「人間の感情ほど投資の敵はない」
そこでパックン氏が選んだのは、自動積立で「ほったらかし」戦略です。
毎月S&P500連動ファンドをコツコツ買い付け、後は完全放置です。
価格が上がっても下がっても気にしません。
本人いわく「面倒くさいから」ですが、実は感情を排除する合理的な手法です。
あのウォーレン・バフェット氏もおすすめする手法。
面白くない投資で老後を面白くする。この逆説的スタイルを選んだわけです。
「頭のいい借金」と「バカな借金」
借金を憎み、誰よりも早く完済したパックン氏ですが、すべての借金を悪と断じているわけではありません。
パックン氏は借金を2種類に明確に分類しています。
それは「頭のいい借金」と「バカな借金」です。
「バカな借金」とは、クレジットカードのリボ払いや消費者金融のローンのように、金利が年7%を超えるような借金を指します。
これは資産を食いつぶす「寄生虫」のような存在であり、投資を始める前に、一刻も早く根絶やしにすべき最優先課題です。
一方で、「頭のいい借金」とは、住宅ローンや自動車ローンのように、金利が比較的低い借金を指します。

例えば、年利1%の住宅ローンを35年かけてゆっくり返し、手元に残った現金を年利7%が期待できるインデックスファンドに投じた方が、繰り上げ返済するよりも資産は効率的に増える、という算段です。
この「金利7%」という基準は、S&P500の過去の平均リターンがおおよそ7~10%であることから来ています。

つまり、期待リターンが借金の金利を上回るなら、その借金は資産を増やすための「レバレッジ(てこ)」として活用できる、という考えです。
借金をただ毛嫌いするのではなく、冷静に数字で判断する。
これぞハーバード卒のパックン氏の真骨頂といえるでしょう。
パックンがおすすめする投資信託はこの2銘柄!
パックン氏がおすすめするのは「低コスト・インデックスファンド」であり、以下の2つの銘柄です。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・VTI)
それでは、それぞれのファンドを解説していきますね。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
リターン | 1年:23.58% 3年:73.49% 5年:189.04% |
信託報酬(運用管理費用) | 年率0.0814% |
パックン氏のコア戦略を最も忠実に再現できるのが、この「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。
このファンドは、米国の優良企業500社で構成される株価指数「S&P500」に連動することを目指す投資信託です。
パックン氏が「S&P500」を絶賛する理由は、その「自己浄化機能」にあります。
業績が悪化した企業は自動的に指数から外され、代わりに勢いのある新しい企業が採用されるため、常に米国の「勝ち組」企業に投資し続けられるのです。
信託報酬(運用管理費用)も業界最低水準で、まさに「ほったらかし」に最適な一本といえます。
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・VTI)
リターン | 1年:23.51% 3年:69.99% 5年:179.45% |
信託報酬(運用管理費用) | 年率0.162% |
もう1つの有力候補が、「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・VTI)」です。
こちらはS&P500の500社だけでなく、中小型株も含めた約4,000銘柄、つまり米国株式市場のほぼ100%をカバーしています。
「S&P500」が「米国の選抜チーム」だとしたら、「楽天・VTI」は「米国代表オールスターズ」といったところでしょうか。
より広く分散投資をしたい、未来のGAFAMになるかもしれない隠れた原石にも賭けてみたい、という方にはこちらが向いているかもしれません。
「S&P500」と「楽天・VTI」はどちらがよい?
「それで、『S&P500』か『楽天・VTI』か、結局どっちがいいの?」という声が聞こえてきそうですね。
結論からいうと、パックン氏はおそらくこう言うでしょう。
「どっちでもいいよ!」
なぜなら、長期的に見れば両者のパフォーマンスに、人生を左右するほどの決定的な差が生まれる可能性は極めて低いからです。
メインとなる構成銘柄の大部分は重複しており、どちらも米国の経済成長の恩恵を受けるという点では同じです。
「S&P500」の上位10銘柄は以下のとおりです。

「楽天・VTI」の上位10銘柄は次のとおりです。

パフォーマンスを比較してみても直近は「S&P500」がやや上回っているものの、長期ではほぼ差がありません。

厳密にいえば、米国の超大型優良企業に集中投資したいなら「S&P500」、より広く中小型の成長株まで網羅したいなら「楽天・VTI」となります。
しかし、この二択で悩みすぎて投資を始められない、なんてことになったら本末転倒。
それはまさに、パックン氏が最も嫌う「感情的な非合理性」です。
サイコロを振って決めて、さっさと積立設定を始めてしまうくらいの気概がちょうどよいのかもしれません。
【ポートフォリオ完全公開】パックン式「超保守的」な資産配分の設計図
パックン氏の投資戦略は、その資産配分(アセットアロケーション)に明確に表れています。
それはまるで、攻撃力と防御力を緻密に計算された城塞のようです。
コア・エンジン:S&P500インデックスファンド(80~85%)
ポートフォリオの心臓部、まさに攻撃の要となるのが、S&P500などの株式インデックスファンドです。
資産の実に80~85%という大部分をここに集中させています。
「米国株だけにそんなに集中して大丈夫?」と不安になるかもしれません。
しかしパックン氏に言わせれば、S&P500への投資は実質的な「世界分散投資」なのです。
なぜなら、構成銘柄であるAppleやMicrosoft、Amazonといったグローバル企業は、収益の多くをアメリカ国外から得ています。
つまり、S&P500を買うだけで、間接的に世界経済の成長の果実を得ることができる、というわけです。
防御の錨:債券ファンド(約15%)とREIT(約5%)
パックン氏は資産の約15%を債券ファンドに、約5%を不動産投資信託(REIT)に配分しています。
これらの役割は、高いリターンを狙うことではありません。
株式市場が暴落した際に、被害を和らげる「緩衝材」や「エアバッグ」としての機能です。
一般的に、株価が下がると安全資産である債券の価格は上がる傾向にあります。
この「逆相関」を利用して、ポートフォリオ全体の価値が大きく目減りするのを防ぎ、投資家がパニック売りという最悪の選択をしてしまうのを食い止めるのです。
面白みはゼロですが、この地味な守備陣こそが、長期投資という長く厳しい戦いを勝ち抜くための生命線なのです。
パックンが個別株に手を出さない理由
ポートフォリオに個別株が一切入っていないのも、パックン流の大きな特徴です。
その理由は「プロに勝てない」。これが答えです。
四六時中、企業の財務諸表や業界動向を分析している金融のプロに対し、片手間で銘柄分析をするお笑い芸人が勝てるはずがない、とパックン氏は冷静に自己分析していました。

それでもインデックス投資なら自分でもできる。
自分が得意な本業(エンターテインメント)に全集中し、そこで稼いだお金をインデックスファンドに追加投資した方が、よっぽど合理的でリターンも大きい、と考えたのです。
自分の得意な土俵で戦う。
これは投資だけでなく、人生のあらゆる場面で通用する真理といえるでしょう。
パックンの投資やお金についての考えが学べるおすすめの本
パックン氏は多数の著書を執筆しています。
その中でも代表作『無理なく貯めて賢く増やす パックン式 お金の育て方』は投資初心者にも大人気です。
お金や投資の知識といった資産形成の土台が身につくように、わかりやすく解説している一冊です。

X(旧Twitter)での評判も上々です。
難解だと思われがちなお金の話を、ユーモアを交えて解説するパックン氏の手腕が高く評価されています。
投資以前に、まずお金との向き合い方そのものを見直したい、という人におすすめできる一冊です。
投資家パックンの評判は?口コミを調査
パックン氏の投資スタイルは、世間の投資家たちからどのように評価されているのでしょうか?
SNSでの声を拾ってみました。
インデックス派から支持されている
パックン氏の「ブレない」姿勢や投資マインドは、とくに同じインデックス投資を実践する人々から支持を集めています。
このように、パックン氏のシンプルかつ規律あるスタイルを称賛する声が後を絶ちません。
派手さはないものの、多くの人がその合理性と堅実性を高く評価していることがわかります。
悪い口コミはほぼない
ごく一部には「投資家といえるのか?」といった声も存在します。
曰く、「消費を極限まで抑えて、ただインデックスファンドにお金を流し込んでいるだけ。それは投資家ではなく、ただの倹約家ではないか?」という見方です。
確かに「ただインデックスに入金する人」ともいえますが、そのシンプルさがむしろ強みです。
悪評が少ないのはパックン氏の戦略が堅実すぎる証拠でしょう。
【まとめ】パックンの投資は「再現性」と「忍耐力」がカギ
ここまで、投資家パックンの哲学から手法までを徹底的に解剖してきました。
その投資法は、驚くほどシンプルです。
- まず借金をなくし、家計を健全化する
- 生活防衛資金を確保する
- 余剰資金で、低コストのインデックスファンド(「S&P500」など)を毎月自動で積立投資をする
- あとは忘れる。ひたすら「ほったらかし」にする
これだけで資産形成が可能というわけです。
誰にでも真似できる、極めて「再現性」の高い手法です。
すぐに結果は出ませんが、数十年後に「やっててよかった」と思える投資です。
市場の大騒ぎに惑わされず、ガチホできる忍耐力があれば、誰でもパックン流を再現できるのです。
面白い投資ではありませんが、資産形成は面白さよりも「地味でガチ」のほうが懸命なのは間違いないといえそうです。
『パックン(X)』の口コミ
口コミ一覧