2025年11月11日、「メタモ株式会社」の代表、佐藤由太容疑者(41)ら3名が、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで逮捕されました。
驚くべきはその被害規模です。
警察の捜査によれば、メタモ株式会社が「未公開株」の販売を通じて集めたとされる資金は、なんと総額約110億円にのぼるとみられています。
- 「将来必ず上場します」
- 「株価は高騰します」
そんな甘い言葉を、なぜこれほど多くの人々が信じてしまったのでしょうか?
「自分は大丈夫」と、この記事を他人事だと思って読んでいませんか?
過去に「元本保証」「上場確実」「必ず儲かる」といった言葉に、少しでも心が動いた経験がある方なら、決して他人事ではありません。
この記事では、メタモ事件の全容や逮捕に至る経緯、世間の評判、民事裁判の記録、そして再び騙されないための実践的な防衛策まで、徹底的に深掘りしています。
「上場確実」と耳元で囁かれたとき、あなたが次にどう動くべきか。
その答えがここにあります。
【事件の全容】110億円規模の未公開株詐欺。メタモ株式会社・佐藤由太逮捕

まずは、このメタモ事件の骨格を見ていきましょう。
一体どのような手口で、どれほどの規模の被害が生まれ 、そして「AIの夢」を語った首謀者である佐藤由太容疑者とはどんな人物だったのでしょうか?
110億円という金額の裏には、巧妙に設計された「2つの顔」がありました。
何が起きた?「将来上場する」と虚偽説明、110億円を集金か
今回、刑事事件として表沙汰になったスキームは、未公開株詐欺の「王道」ともいえる非常に古典的、かつ悪質なものでした。
事件の概要をまとめると下記のとおりです。
- 事件の概要:首謀者とされる佐藤由太容疑者(41)らが、自らが運営するAI関連企業「メタモ株式会社」およびそのグループ企業の未公開株式を販売
- 勧誘の手口:2021年頃から、全国で50名から100名規模の「投資セミナー」を繰り返し開催。「将来メタモ株式会社を上場させ、数百倍の利益を得られる」といった、具体的で断定的な虚偽の説明で出資を募集していたとされる
- 被害の規模:九州地方を中心に全国の出資者(報道によれば900人以上)から、総額約110億円もの巨額の資金を集めていた疑い
- 逮捕容疑: 2025年11月11日、金融庁の登録を受けずに株式の購入を勧誘した「金融商品取引法違反(無登録営業)」の容疑で逮捕
結果として、全国900人以上の個人投資家から集まった金額は、なんと約110億円にものぼります。
2025年11月11日、警察は金融商品取引法違反(無登録営業)で佐藤容疑者ら3名を逮捕しました。
さらに警察は「これは入り口で、詐欺容疑での立件も検討する」と発表しています。
要するに、今回は「とりあえず逮捕」であって、ここから本格的に実態解明が進むという状況です。
首謀者・佐藤由太とは?その経歴と人物像

では、この110億円を動かした張本人・佐藤由太とは何者なのでしょうか?
ネット上では「経歴がファンタジー系」「肩書きが毎年違う」など、若干の「エンタメ性」すら指摘されています。
報道によれば、佐藤容疑者は自らを「AI技術の専門家」「JAXAで人工衛星データ処理に従事」「東大出身」などと説明していたとされています。
ところが被害者や元関係者からの証言では、これらはほぼ虚偽だった疑いが濃厚です。
要するに、経歴からして「自作AI」ならぬ「自作プロフィール」というオチでした。
とにかく「JAXA」や「東大」というパワーワードで、一般人には計り知れない最先端技術の専門家である、という権威付けを行っていたわけです。
この「すごそうな経歴」が、後に紹介する「AIストーリー」に絶大な説得力(と勘違い)を持たせる小道具となりました。
なぜ多くの人が騙されたのか?巧妙な「2つの顔」
110億円もの大金が動いた背景には、メタモ株式会社が緻密に設計した「二重構造」のイメージ戦略がありました。
彼らは2つの異なる「顔」を使い分け、投資家を信用させ、そして夢中にさせたのです。
堅実な「広報支援会社」(表の顔)
メタモ株式会社の公式サイトを見ると、まるで真っ当な企業です。

「広告代理店を通さないコスパの良い広報支援」「映像制作やWeb制作をワンストップで提供」など、普通に存在しそうな事業を丁寧に紹介しています。
事業内容だけ見れば、投資対象というより「街のデザイン会社」レベルのイメージで、怪しさはゼロです。
この「普通の会社アピール」が投資家の警戒心を緩めるのに非常に効果的でした。
「怪しい会社ならそもそもホームページを作らないでしょ」。
こういう心理をうまく突いていたわけです。
最先端の「AIテクノロジー企業」(投資家向けの顔)
しかしその裏で、彼らはプレスリリースなどを通じて、全く異なる「もう1つの顔」を発信していました。
2020年7月、メタモ株式会社は「AI(人工知能)やリアルタイムデータを活用する、技術集団の子会社」の設立を発表します。
ここでのアピールは過激です。
「ベビーシッターによる虐待などをAIが自動検出する家庭用カメラ(メタモAIスマートカメラ)」や、「電子的な本人確認サービス(keyDB.)」といった革新的なプロダクトを次々と発表しています。

それらのAI端末には、「米グーグルから提供される専用チップ」を搭載しているとまで言及しています。

そして、とどめが代表・佐藤容疑者の「JAXA出身」という経歴です。
このAIストーリーは、
「今はまだ未上場だが、社会問題を解決する革新的な技術を持つ企業だ。上場すればGoogleのようになるかもしれない」
という強烈な夢を投資家に抱かせるための、強力な「誘い水」として機能したのです。
逮捕前から「怪しい」の声。メタモ株式会社の評判と裁判記録
メタモ株式会社や佐藤由太容疑者による110億円もの被害が出るまで、誰も「おかしい」と思わなかったのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
水面下では、すでに法的な追及が始まっており、「怪しい」という声は各所で上がっていました。
ネット・SNSでの評判:「典型的な未公開株詐欺」の声
今回の逮捕劇は突然のように報じられましたが、投資家の間やネット上では、ずっと以前からその危険性が指摘されていました。
「典型的な未公開株詐欺の手口だ」
「株を購入したが、その後一切連絡が途絶えた」
といった具体的な相談や告発が相次いでいたのです。
中には、佐藤容疑者の「東大卒」「JAXA出身」という華々しい経歴そのものが虚偽ではないか、と指摘する声も上がっていました。
ただし、多くの人々が「怪しい」と気づきながらも、その声は110億円という巨額の被害を防ぐまでには至りませんでした。
民事裁判で「敗訴」済み:法廷が認定した問題点
実は、今回の刑事事件(逮捕)とは別に、被害者による民事裁判はすでに先行して進んでおり、メタモ株式会社側は「敗訴」が確定していました。

2023年6月、東京地裁は「メタモ株式会社および同社代表佐藤由太」の「不法行為責任」を明確に認める判決を下していたのです。
もっと具体的に言えば、
- 「メタモ株式会社の子会社が米企業パランティアに売却される」
- 「高値で買収される予定がある」
と説明していた点について、裁判所は「そんな計画、最初から存在しません」と、完全に虚偽と断定したわけです。
つまり、佐藤容疑者は「事実じゃない夢」を語って投資家からお金を集めていたことになります。
裁判所の言葉をわかりやすく言えば、「嘘をついてお金を集めたんだから責任をとりなさいね」という判決です。
さらに重要なのは、法人(メタモ株式会社)だけでなく、「佐藤由太・個人」にも責任を認めたという点です。
これは非常に重い判断で、 「会社が悪かったんです」 という言い訳は通用しません。
詐欺スキームの中心は会社の看板ではなく「あなた個人の行為ですよ」と法律上認定されたことになります。
この民事判決という「お墨付き」が、警察当局が大規模な捜査に踏み切り、最終的な逮捕につながる捜査を後押しした可能性は極めて高いといえるでしょう。
メタモ事件から学ぶ「未公開株詐欺」の危険な兆候
メタモ株式会社の手口は、被害額こそ110億円と巨大ですが、その中身は「未公開株詐欺の教科書」と呼べるほど典型的なものでした。
二度と同じ轍を踏まないために、詐欺師が使う「危険信号」を学んでおきましょう。
危険信号①:「必ず儲かる」「上場確実」という言葉
「必ず儲かる」「将来上場します」。
この2つの言葉は、未公開株詐欺の世界では合言葉のようなものです。
上場審査は厳格で、社長がどれだけ熱弁しても上々の決定権は証券取引所にあります。
つまり、会社側が上場を確約できるはずがないのが現実です。
にもかかわらず、断定的に未来を語る時点で、法的にもアウト気味です。
言い換えると、こうした甘い言葉が飛び出した瞬間に、あなたの頭の中で「詐欺アラーム」が鳴っていなければ危険信号といえます。
投資ではなく「夢の販売」が始まっている合図です。
危険信号②:勧誘元が「無登録業者」である
株式やファンドなどの金融商品を販売するには、金融庁への登録が必須です。
ところが未公開株詐欺では、ほぼ例外なく無登録業者が登場します。
「会社の株だから証券会社じゃなくても売れるでしょ?」
と思いがちですが、それは完全に誤解です。
会社が直接第三者に株式を売る場合でも、募集・勧誘行為を行うなら登録が必要です。
登録番号や商号を聞いても曖昧に濁す業者は、ほぼ真っ黒といっても過言ではないです。
金融庁の公式サイトのデータベースで5秒チェックするだけで防げる詐欺も多いので、まずは「登録の有無」を見る癖をつけることが最強の防御になります。
危険信号③:「あなただけ」「今だけ」と契約を急がせる
詐欺師は、とにかく即決させたがる生き物です。
「あなただけ特別に」「今日中なら間に合う」
といったセリフは、冷静な判断を奪うための常套句です。
投資は未来のリターンを考える行為なのに、なぜか詐欺師は今すぐを連呼します。
これは、考える時間を与えたら客が逃げてしまうからです。
まともな投資で「10分以内に振り込んで」が必要になる場面は存在しません。
急かされた瞬間、それは投資ではなく押し売りのサインです。
深呼吸して一歩引けば、騙される確率は激減します。
「怪しい投資話だな」と思ったら?公的な相談窓口と対処法
「もしかして、自分が持ちかけられている話も…?」と不安になった方。
あるいは、すでに被害に遭ってしまったかもしれないという方。
詐欺師の思うツボは「一人で抱え込ませる」ことです 。
絶対に一人で悩まないでください。
あなたの味方となってくれる、公的な相談窓口と、被害者をさらに狙う「二次被害」のワナについて解説します。
一人で悩まないで!すぐに連絡すべき公的相談窓口リスト
怪しいと感じたら、その場で契約せず、必ず以下の公的機関に相談してください。
公的機関はその道のプロです。
| 機関名 | 電話番号 | 管轄・備考 |
| 消費者ホットライン | 188 (いやや!) | 全国の消費生活センター等を案内。 契約トラブル全般の最初の相談窓口 |
| 警察 相談専用電話 | #9110 | 全国の警察総合相談窓口。 緊急の事件性がない犯罪の相談 |
| 金融庁 金融サービス利用者相談室 | 0570-0161811 | 金融商品に関するトラブル、 無登録業者に関する情報提供・相談 |
| 証券取引等監視委員会(SESC) 情報受付窓口 | 03-3581-9909 | 無登録営業、インサイダー取引など、 証券市場の不正に関する情報提供 |
| 日本証券業協会 未公開株コールセンター | 0120-344-999 | 「未公開株」の勧誘に特化した 専門の相談窓口 |
【要注意】被害者を狙う「2次被害」のワナ
最後に、メタモ株式会社の被害者に、非常に重要な警告です。
110億円という巨額の被害が確認されたことで、被害者のリストは犯罪者グループ間で高額売買される可能性が極めて高いです。
彼らは今後、「被害回復型」と呼ばれる「二次被害」詐欺を仕掛けてきます。
- 「メタモ株式会社に騙されたあなたの被害金を取り戻します」
- 「我々は金融庁から委託されたNPO法人です」
このように名乗る別のグループから連絡が入り、「調査費用」「訴訟手数料」といった名目で、さらに金銭を騙し取ろうとする手口です。
絶対に信用しないでください。
今後、あなたに連絡してくる「被害回復」を謳う電話やメールはすべて詐欺です。
唯一信用できるのは、あなた自身が依頼した弁護士、または上記の公的機関だけであると肝に銘じてください。
【まとめ】メタモ事件から学ぶ「投資リテラシー」の重要性
メタモ事件は、AIやJAXAといった「強い肩書き」をまとうことで投資家を安心させつつ、中身は典型的な未公開株詐欺でした。
110億円もの資金が吸い上げられた背景には、企業の巧妙な二重構造と、投資家が「金融庁の登録確認」という最も基本的なチェックを怠ってしまった事実があります。
今回の教訓は明確です。
どれだけ魅力的な未来像を提示されても、登録のない会社が投資商品を売ってくる時点でゲームオーバーです。
「必ず儲かる」「上場確実」という甘い言葉は、投資ではなく罠の入り口です。
怪しいと感じた瞬間に公的機関へ相談することが、自分の資産を守る最強の盾になります。
投資リテラシーとは、難しい知識ではありません。
「ほんの少しの疑う力」と「登録確認」だけで悲劇は防げたのです。



『メタモ株式会社 公式サイト』の口コミ
口コミ一覧