「澤上篤人」と聞いて、あなたはどんなイメージを持つでしょうか?
「日本の長期投資の父」と神格化する声がある一方、「暴落論者」と切り捨てる声も後を絶ちません。
SNSを覗けば、信者とアンチが日夜論争を繰り広げ、その評価は混沌を極めています。
大切なお金を投じる先として、この人物を本当に信じてよいのか?
この記事では、耳障りの良い言葉や無責任な批判は一切排除し、澤上篤人氏の経歴や投資哲学、そして物議を醸す「暴落論」の実績までを客観的に解剖します。
記事を読み終えたとき、他人の意見に惑わされることなく、あなた自身の頭で澤上氏を評価できるようになるはずです。
澤上篤人とは何者か?輝かしい経歴とプロフィール

まずは、澤上篤人氏がどのような道を歩んできたのか、その華麗なる経歴を見ていきましょう。
この経歴だけを見れば、誰もが「エリート中のエリート」と感じるはずです。
生い立ちから投資家になるまで
澤上氏は1947年、愛知県名古屋市に生を受けました。
大学卒業後、松下電器貿易(現・パナソニック)という日本を代表する大企業に入社しますが、早々に見切りをつけたのか、すぐに金融の世界へ飛び込みます。
澤上氏のキャリアの土台が築かれたのは、なんとヨーロッパ。1970年代、スイスの運用会社でアナリスト兼ファンドアドバイザーとして腕を磨きます。
本場の金融を肌で感じ、グローバルな視点を養ったこの経験が、後の澤上氏の人生を大きく左右することに。
その後、1980年からはスイスの超名門プライベートバンクであるピクテ銀行の日本代表を務め、ついにはピクテ・ジャパンの代表取締役にまで上り詰めます。
そこで澤上氏が見たのは「金融業界が顧客ではなく手数料を愛している」という現実。
それが次に解説する「さわかみ投信」設立のきっかけになるのです。
「さわかみ投信」設立の経緯とその理念
金融業界のいびつな状況に業を煮やした澤上氏は、エリートとしての地位をあっさりと捨て、自ら茨の道へと進みます。
1996年に「さわかみ投資顧問株式会社」を設立。
そして1999年、日本の投資信託の歴史を塗り替える「さわかみ投信株式会社」を立ち上げ、日本初の独立系直販投資信託「さわかみファンド」の運用を開始したのです。

さわかみ投信は「直販」というのがミソ。「銀行や証券会社を通さず投資家と直結する」モデルになります。
これにより、投資家は余計な販売手数料を払う必要がなくなったのです。
今では珍しいものではありませんが当時の金融業界の中では、まさに革命的といってよい仕組みでした。
自信の哲学をまとめた投資本を多数出版
澤上氏はファンドマネージャーであると同時に、一人の「思想家」でもあります。
自身の投資哲学や経済に対する考えを世に問うため、数多くの書籍を出版してきました。
その主張は一貫して「長期投資」の重要性を説くものです。

また、来るべき経済危機について警鐘を鳴らす本も少なくありません。

書籍はおおむね好評ではあるものの、「言うは易し、行うは難し」とでもいいましょうか。
その哲学が実際の運用成績に結びついているのかは、また別の話となります。
ブログ「長期投資家日記」で発信するメッセージ

澤上氏は御年70歳を超えていますが、その発信意欲は衰えることを知りません。
自身のブログ「長期投資家日記」では、日々の経済ニュースや市場の動きに対して、独自の視点でコメントをかなりのペースで発信し続けています。
その内容は、相変わらず「いずれ大暴落が来る」というトーンが中心ですが、澤上氏のメッセージに耳を傾ける熱心なファン(あるいは信者)が今なお多く存在するのも事実です。
良くも悪くも、日本の投資業界において、無視できない存在感を放ち続けるカリスマなのでしょう。
澤上篤人のリアルな評判・口コミ【客観データで検証】
さて、ここからは澤上篤人氏の「理想」の部分ではなく、「現実」の評価を見ていきましょう。
SNSの口コミを客観的に分析し、澤上氏のリアルな評判を浮き彫りにします。
良い評判・口コミ
まずは、澤上氏を支持するポジティブな意見から見ていきましょう。
書籍が学びになると好評
澤上氏の著作を高く評価する声は非常に多いです。
とくに「企業の価値を見極めて長期で応援する」という澤上氏の哲学が、多くの個人投資家から受け入れられています。
少なくとも「投資の先生」としては、非常に人気が高いようです。
長期投資哲学に共感する声が多い
澤上氏は単に手法だけを語るのではなく、哲学的な面からも投資を語っていますが、そうした姿勢を支持する声も見かけます。
このように、長期投資という概念をわかりやすく、投資家に共感できる言葉で伝えられるのは、確かな知識と自分の哲学があるからでしょう。
その姿勢に心を打たれる投資家は少なくないようです。
悪い評判・口コミ
一方で手厳しい批判も後を絶ちません。
むしろ、近年は批判の声の方が大きくなっているように感じます。
暴落論に批判が集まる
澤上氏の代名詞ともいえる「暴落論」に対する批判の声が多いです。
「毎年のように未曾有の暴落と言うが当たらない」という声が多数です。
さらに暴落と煽りながら、リスク資産の株式にたっぷりと投資している矛盾も指摘されています。
さわかみ投信のパフォーマンスが悪く酷評
これが最も致命的な批判点かもしれません。
さわかみファンドのようなアクティブファンドの存在意義は、市場平均(ベンチマーク)を上回るリターンを上げることです。
しかし、さわかみファンドは長年にわたり、ベンチマークとして使われるTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価を下回る成績が続いています。
低くない手数料(信託報酬)を払っているのに市場平均に負けるのでは、投資家が怒るのも当然といえそうです。
「ファンドマネージャーが世襲制⁉」と失笑を買う(息子への跡継ぎ問題)
現在、さわかみ投信の経営は、息子の澤上龍氏に引き継がれています。

この事業承継が、投資家の間で大きな物議を醸しました。
龍氏の経歴が「高校卒業後、フリーターを経てさわかみ投信に入社」という噂が広まり、「そんな人物に大切な資産を任せられるか」という不安や不満の声が噴出したのです。
この「世襲」と受け取られかねない人事に、多くの投資家が失笑し、呆れたのは想像に難くありません。
澤上篤人の日本株暴落論とは?当たらない陰謀論か使える予想か調査
澤上篤人氏を語る上で避けては通れないのが「暴落論」です。
これは単なる景気後退の予測ではなく、もっと終末論的な響きを持っています。
果たしてその中身は、耳を傾けるべき警告なのでしょうか?
想像を絶する大暴落が訪れると警告
澤上氏は、メディアのインタビューや自身のブログ、書籍等で、繰り返し市場の崩壊を警告しています。
その表現は非常に過激です。
「想像を絶する下落局面」や「リーマンショックをしのぐ市場崩壊」といった言葉を使い、これを単なる可能性ではなく、ほぼ確実な未来として語っています。
もはや予言者の域に達しているといっても過言ではないでしょう。
現在の株高を「ハリボテ」と警告する3つの理由
澤上氏がここまで悲観的になる根拠として、おもに以下の3つを挙げています。
- 過剰流動性:金融緩和の繰り返しで資金が市場にあふれ、バブルを形成し、いつ破裂してもおかしくない状態
- 年金マネーの限界:年金マネーが積立から取り崩しに転じ、市場の買い手が売り手へ
- ゼロ金利時代の終わり:金利上昇が借金依存のバブル崩壊を招くリスク
これらの理屈は、一見すると非常に説得力があります。
しかし、問題は「いつ、そのXデーが来るのか」が全く示されないことです。
暴落は起こるものです。当たるとずっと言い続けていたら、それはいつかは当たりますからね。
日経平均株価3万円台の下落を的中させる
澤上氏の暴落論は「当たらない」という意見が多いですが、的中させた事例もあります。
例えば、2024年12月14日号の「週刊東洋経済」で、澤上氏は「3万円台への下落はあり得る」と警告し、実際にその後、日経平均株価は一時的に調整局面を迎えました。

このように短期的な下落を的中させた例もあるため、澤上氏の警告をトンデモ説と無視することもできません。
ただ、一部の的中例だけを取り上げて「やはり澤上氏はすごい」と考えるのは早計です。
外れた無数の予言は忘れ去られ、当たった予言だけが喧伝されるのは、この手の予言者の常套手段ともいえますから。
澤上篤人の投資哲学と実績
澤上篤人氏の投資哲学と、その結果である実績。この2つの間には、残念ながら大きな溝があるようです。
企業応援型の長期投資を提唱
澤上氏の哲学の根幹は、「応援投資」です。
良い会社、社会に必要とされる会社を見つけ出し、その会社の株主となって長期的に応援する。
そして、市場全体がパニックに陥る「大暴落」のときこそ、優良企業の株を安く仕込む絶好のチャンスである、と説きます。
この主張はさわかみ投信の公式サイトにも記載されてあります。

上記の「暴落時に買う」という戦略は、かのウォーレン・バフェット氏も実践する投資の王道であり、理念としては100%正しいといえるでしょう。
しかし、その理念が結果につながってなければ意味がありません。
さわかみ投信の実績はTOPIX以下
問題はここです。理念は立派でも、実績は厳しいものがあります。
澤上氏が率いてきた「さわかみファンド」の運用実績は、市場平均であるTOPIXを下回り続けてきました。

澤上氏は、日本の個人投資家に長期投資の重要性を説いた「教育者」としては一流といってよいでしょう。
しかし、顧客から預かった資産を増やすという「実践者」としては、残念ながら厳しいと評価されても仕方がないでしょう。
「応援した企業は儲からず、応援した投資家も儲からず…では、一体誰が幸せになったのでしょうか?」という意地悪な問いが、頭をよぎります。
澤上篤人は投資家にとって信頼できる情報源か?【結論】
結論はこうです。
「澤上篤人=投資教育者」としては信頼できるが、投資実績や暴落予想は鵜呑みにしない方が吉。
澤上氏は、長期投資の普及に貢献した偉大な教育者であり、日本の直販投信の先駆者であることは疑いようがありません。
書籍や発言から学べることも多く、投資の心構えを養う意味では十分参考になります。
しかし、投資実績や暴落予測に関しては過大評価といえます。
とくに「次の暴落が必ず来る」という予言は、真に受けすぎると機会損失まっしぐらです。
澤上氏の言葉は「投資哲学の教科書」として読むには最適ですが、「株価予想の予言書」として頼るのは危険でしょう。
投資家としてのあなたの財布を守るためにも、「カリスマ」の言葉は一歩引いて聞くのが正解といえそうです。
『さわかみ投信株式会社 公式Webサイト』の口コミ
口コミ一覧