50万円の元手を50億円に――。にわかには信じがたい偉業を成し遂げた人物が、個人投資家のたーちゃん氏です。
たーちゃん氏の正体はなんと現役の「麻酔科医」。
「医者ってお金持ちだから元手が違うんでしょ?」と思った方、外れです。
たーちゃん氏のスタート資金はわずか50万円。ここから株の世界に飛び込み、最終的に50億円もの資産を築き上げたのです。
この記事では、そんなたーちゃんの正体や投資哲学、世間の評判、そして私たち個人投資家がどこまで参考にできるのかを徹底解剖します。
読み終える頃には、明日からの投資に活かせる「成功のエッセンス」を、きっと1つは持ち帰ることができるはずです。
個人投資家「たーちゃん」とは何者?【経歴と活動】
まずは、「たーちゃん」氏が、一体どのような人物なのか、その基本的なプロフィールから見ていきましょう。
本業は現役「麻酔科医」という意外な側面
たーちゃん氏は1975年生まれの兵庫県出身、広島大学医学部を卒業した現役麻酔科医です。
ここでポイントなのが「なぜ麻酔科なのか?」という選択理由です。
外科や産婦人科のように24時間呼び出し必須では、株式市場の研究は到底不可能です。
そこで比較的勤務スケジュールをコントロールできる麻酔科を戦略的に選びました。
医師という安定収入と、投資研究のための時間を両立するための「職業選択すら投資戦略の一環」だったのです。
しかもフリーランス麻酔科医として働きつつ、ボルダリングジムまで経営。
医療と投資、さらに起業まで三足のわらじを履きこなす異色の存在です。
その資産は現在なんと80億円!
大学時代に元手50万円から投資をはじめ、
- 2000年:セガ株への初期投資が成功し、資産は500万円に増加
- 2005年:オーストラリアの金鉱株への集中投資が実を結び、資産は1億円を突破
- 2013年:アベノミクス相場の初動で大きく資産を増やし6億円ほどに
- 2020年:資産が10億円に到達
- 2024年:資産が50億円を突破
上記のように順調に資産を増加していったとのこと。
そして現在も資産は増加中とのことですから、いやはやあっぱれですね。
2024年にがんで余命宣告を受ける
たーちゃん氏は2022年に直腸がん(ステージ4)と診断され、その後も再発を繰り返し、計4度の手術を受けました。
しかし2024年、49歳のときに肺と肝臓への転移が確認され、末期がんであることが発覚。
主治医からは「50歳までは生きられるかもしれないが、51歳は難しい」と厳しい余命宣告を受けています。
本人も「子どもが大学生になる頃には生きていないかもしれない」「来年には死んでいるかもしれない」と語っており、残された時間を強く意識していることがわかります。
この余命宣告はたーちゃん氏にとって「人生の触媒」となりました。
自らの投資知識を体系化し、次世代に伝えるべきだと決意します。
初の著書『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』を「最期の仕事」として執筆したのです。
本人は「人生の集大成として、出し惜しみせず、魂を込めて書いた」と語っています。
X(旧Twitter)やブログ、メディアで情報発信
情報発信のメインはX(旧Twitter)です。

アカウント「@yhdgj675」はフォロワー数3万人超。
発信内容は小手先の相場観よりも「投資哲学」や「地道な分析の重要性」を説くものが多く、信者的ファンも少なくありません。
かつては「たーちゃんファンド」というブログも運営していましたが、現在は更新が停止ており、情報収集のメインはXと考えてよいでしょう。
その他、YouTube番組への出演やWEB記事のインタビュー、書籍の出版など各種メディア出演もされています。
本名や素顔は公開されている?
たーちゃん氏はこれだけの有名人でありながら、本名は公開されていません。
しかし、ミステリアスなベールに包まれているかと思いきや、意外にもYouTubeチャンネルではあっさりと顔出し出演を果たしています。
動画で見るたーちゃん氏は、非常に穏やかで知的な印象。
とてもじゃないですが、市場の荒波を乗りこなし、時には赤字企業に億単位の資金を投じるような勝負師には見えません。
そのギャップもまた、たーちゃん氏の魅力の1つなのでしょう。
個人投資家たーちゃんの評判・口コミ
では、他の投資家たちは、たーちゃん氏をどのように見ているのでしょうか?
ネット上の評判や口コミを、ポジティブなものからネガティブなものまで、忖度なく集めてみました。
ポジティブな評判・口コミ
はっきり言って、ポジティブな評判は探すまでもなく、そこら中にあふれかえっています。
もはや「称賛の嵐」といっても過言ではありません。
投資家として本物の実力者との声
SNSでは「理論も実績も本物」「ここまで継続的に増やせるのは奇跡」という声が多く見られます。
まぐれの億り人なら掃いて捨てるほどいますが、50億円・70億円と増やし続ける投資家は滅多にいません。
人間性や考え方に共感できる
たーちゃん氏が多くの人から支持される理由は、その投資実績だけではありません。
「父として娘に伝える姿勢に感動した」「誠実な人柄が言葉から伝わる」といった声も多いです。
厳しい余命宣告を受けながらも、その知識を後世に、とくに自身の2人の娘に遺そうとする真摯な姿勢が、多くの人々の心を打っています。
その言葉は、死を目前にして残した「遺言」だからこそ重みがあるのでしょう。
書籍『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』がベストセラー

2025年に出版されたたーちゃん氏の初の著書は、発売後またたく間にベストセラーとなりました。
単なるノウハウ本ではなく、「父から娘へ」という形式で、自身の投資哲学のすべてを注ぎ込んだ本書は、多くの読者に衝撃を与えました。
胡散臭い自己啓発書とは違い、命懸けで書かれた本だからこそ説得力が段違いです。
レビューも「まさにバリュー投資の教科書」「投資本としてだけでなく人生訓にもなる」と絶賛が並びます。
ネガティブな評判・口コミは驚くほど少ない
これだけの実績と知名度があれば、当然たーちゃん氏に対するアンチや批判的な意見も多いだろう…と思いきや、驚くほどネガティブな評判は見当たりません。
Xで検索しても、詐欺師だとか、胡散臭いといった類の批判は皆無に等しい状況です。
あえていえば、以下の口コミのように「自分には再現できない」「できる人は限られる」など、手法の再現性に関して触れている声があるくらいでしょうか。
ただし、これは批判というよりも、むしろたーちゃんの実力や努力があまりにすご過ぎて真似できないという諦めや、たーちゃん氏への尊敬の気持ちの表れと考えるべきでしょう。
【50万円→50億円】資産1万倍を達成した「たーちゃん」の投資手法
さて、ここからが本題です。
一体、たーちゃん氏はどのような魔法を使って資産を1万倍にまで増やしたのでしょうか?
その投資手法の核心に迫ります。
投資スタイルの基本は「超地道な割安株(バリュー)投資」
たーちゃん氏の投資手法は、一言で言えば「バリュー投資」です。
つまり、企業の本来の価値よりも割安な価格で放置されている株式を買い、正当な価格に評価されるまで待つという、投資の王道ともいえるスタイルです。
しかし、たーちゃん氏の「バリュー投資」は、私たちが想像するような生半可なものではありません。そこには、いくつかの徹底した原則が存在します。
- 楽して儲けようという姿勢の完全否定:安易な儲け話や流行りのテーマ株に飛びつくことの禁止
- 地道な企業分析と現地調査の重視:決算書だけでなく、企業の本社や店舗に足を運ぶことを重視
- 綿密な企業分析レポートを自作:投資アイデアを「90秒で他人に説明できる」レベルまで落とし込むことを徹底
50万円を50億円にした神業のような投資判断の裏側は、上記のように、まるでドブ板営業のように泥臭い努力で支えられているのです。
たーちゃん流・3つのバリュー投資戦略
たーちゃん氏のバリュー投資は、大きく3つの戦略に分類できます。
- 資産バリュー株投資
- 収益バリュー株投資
- シクリカル・バリュー株投資
これは著書でも詳しく解説されており、たーちゃん氏の思考のフレームワークそのものです。
資産バリュー株投資:企業の持つ資産に対して割安な銘柄に投資
これは、企業の貸借対照表に注目するアプローチです。
会社が解散したとしても、残るであろう純資産(現金、土地、有価証券など)の価値よりも、現在の株価(時価総額)が安い企業を探し出す。いわば「5,000円の財布に1万円」といった投資法ですね。
銘柄の選定基準は以下のとおりです。
- PBR:0.5倍以下
- 自己資本比率:60%以上
- PER:12倍以下
- グレアム指数:22.5以下
倒産リスクさえなければ、理論上は負けにくい手堅い手法といえます。
収益バリュー株投資:稼ぐ力に対して割安な銘柄に投資
こちらは、企業の「稼ぐ力」、つまり事業の収益性に着目するアプローチです。
現在はまだ評価されていないものの、将来的に大きな利益成長が見込める企業を割安な段階で仕込みます。
銘柄の選定基準は以下のとおりです。
- 営業利益率:10%以上
- PER:10倍以下
- PBR:1.5倍以下
- ROA:7%以上
- 時価総額:300億円以下
たーちゃん氏はこの投資方法で過去に、「業務スーパー」を展開する神戸物産(3038)や、とんかつ専門店「かつや」(現在は上場廃止)に投資し、大きな利益を上げたそうです。
シクリカル・バリュー株投資:赤字だが回復が見込める銘柄に投資
そして、これこそがたーちゃん氏の真骨頂であり、たーちゃん氏の資産を爆発させた最強の武器です。
造船、資源、金融といった、好況・不況の波が激しい「景気循環(シクリカル)株」を主なターゲットとします。
たーちゃん氏の狙いはただ1つ、「業界全体が不況のどん底にあり、ほとんどの企業が赤字を垂れ流し、市場から完全に見捨てられているタイミング」で投資を実行すること。
火事場の焼け跡から、まだ熱を帯びたダイヤモンドを拾い上げるような、常人には真似できない投資法です。
この手法を象徴するのが、消費者金融大手「アイフル(8515)」への投資です。
当時、過払い金問題で業界全体が壊滅し、アイフルも倒産確実と見られていました。
しかし、たーちゃん氏は、市場の悲観論を冷静に分析し、企業が生き残る可能性に賭けたのです。

結果、アベノミクス相場の追い風も受け、アイフルの株価はわずか半年で約7倍に高騰。たーちゃん氏の伝説を決定づける一撃となりました。

個人投資家たーちゃんの投資情報はどう活用できる?
正直にいえば、たーちゃん氏の投資手法、とくにシクリカル・バリュー投資を完全に模倣することは、ほとんどの個人投資家にとって不可能に近いでしょう。
なぜなら、たーちゃん氏の成功は、単に優れた手法を知っているからというだけでなく、
- プロのアナリスト顔負けの膨大なリサーチに耐え得る時間と知力
- 市場の総意に逆らい、赤字企業に大金を投じられる鋼のメンタル
- 投資の時間を確保するために、麻酔科医というキャリアを戦略的に選択した人生設計
といった、常人離れした複数の要素が奇跡的に組み合わさった結果だからです。
これをそっくりそのまま真似するのは、まさに「無理ゲー」と言わざるを得ません。
しかし、だからといってたーちゃん氏から学ぶべきことがないわけではありません。
たーちゃん氏のようにはなれなくても、その哲学のエッセンスを1つでも自身の投資戦略に取り入れることで、少なくとも市場で安易にカモにされる確率は格段に減るはず。
とくにバリュー投資を学びたい方なら、「教材」として、たーちゃん氏の発信する情報や書籍は参考になるかと思います。
『たーちゃん@バブルおじさん』の口コミ
口コミ一覧