「プロの証券会社が言うことだから安心」、もしもそのように信じているなら今すぐ改めるべきです。
2026年9月16日、日本証券業協会(日証協)はキャピタル・パートナーズ証券会社に対し、過怠金3,000万円を課す重い処分を発表しました。
さかのぼること6月、金融庁からも業務停止命令および業務改善命令という行政処分を受けていた同社。
「高金利で絶対に儲かる」「元本割れのリスクはない」。
証券会社の営業員からこのような言葉をかけられ、大切な資金を預けた結果、
資産を大幅に減らしてしまった個人投資家は今も昔も後を絶ちません。
キャピタル・パートナーズ証券の不正営業問題から浮き彫りになったのは、
プロの証券マン(金融庁登録事業者)であっても簡単に信じてはいけないという結論でした。
悪質な証券マンから大切な資産を守るための安全策も解説しますので、ぜひとも最後までお読みください。

「キャピタル・パートナーズ証券」はどんな証券会社か?
独立系証券会社として富裕層への対面販売で成長
キャピタル・パートナーズ証券は、大手メガバンクや大手系列に属さないいわゆる「独立系証券会社」です。

- 創業の歩み:1996年に設立されたキャピタル・パートナーズ株式会社を祖業とし、2003年に米国プルデンシャル・フィナンシャルの在日証券子会社を買収して証券業へ本格参入。
- ビジネスモデル:大手証券のように店舗網を全国に広げるのではなく、中小企業のオーナー経営者や資産家・富裕層をメインターゲットに、対面営業や新興国債券、外国株式などを提案するスタイルを強みとしてきました。
- グループ体制:持株会社であるキャピタルフィナンシャルホールディングス(CFHD)傘下に証券、資産運用、金融商品仲介業を担うそれぞれのグループ各社を形成しています。
野村証券出身、CEO 沓澤武彦氏の経歴

現在同社を率いる代表取締役社長 CEOの沓澤武彦(くつざわ たけひこ)氏は、業界最王手の野村証券出身。
下記に氏の経歴をまとめました。
| 沓澤武彦氏の経歴・役職 |
|---|
| 早稲田大学 法学部 卒業 |
| 東京大学大学院 修士課程 修了 |
| 野村證券株式会社 入社 |
| 野村證券 法務部 法務課長 |
| 野村證券 プライベート・バンキング業務部 次席 |
| 野村ホールディングス マーチャント・バンキング企画室長 |
| 野村フィナンシャル・パートナーズ 取締役 |
| 株式会社ウィズ・パートナーズ コンプライアンス室長 |
東大大学院卒、企業コンプライアンスや法務のスペシャリストであり国内最大手での豊富な経験を持つ氏は2022年6月、同社取締役社長に就任しました。
トップがエリート中のエリートで法務のスペシャリストという経歴ながら、同社の営業実態は不正営業の温床とされる「手数至上主義」と「内部管理の崩壊」が見えてきます。
顧客からの評判や口コミ情報は?
ファイナンシャル系の口コミ情報や各種SNSを徹底的にリサーチしてみましたが、対面営業を主体とするためでしょうか。
同社に対する個人的な口コミを見つけることはできませんでした。
ただ、元社員によるレビュー情報を転職サイトで幾つか見つけることができ特に目立っていた以下の3点。
・ノルマや成果に対するプレッシャーが強い
・数字を出さなければ残れない職場環境
・営業担当者が強引な勧誘に走りやすい土壌
この「営業成績重視」の企業風土に耐え切れず、退職するケースは少なくないようです。
6月に金融庁が下した業務停止処分
では、今回の過怠金の引き金となった2026年6月12日の関東財務局による行政処分の内容を振り返りましょう。
処分内容:新興国通貨建て債券の販売を1ヶ月間ストップ
関東財務局は同社に対し、以下の処分を下しました。
- 業務停止命令:新興国通貨建ての外国債券の新規取得勧誘を伴う販売業務を、2026年6月12日から7月11日までの1ヶ月間停止。
- 業務改善命令:経営陣の責任明確化、内部管理態勢の抜本的見直し、所属金融商品仲介業者(CFA社)の管理見直し、不適正勧誘の追加調査と顧客対応の実施など。
出典:金融庁「キャピタル・パートナーズ証券株式会社ほか1社に対する 行政処分について」
トルコ・リラ債で横行した「断定的判断の提供」
証券取引等監視委員会の検査で明らかになった手口は、プロの証券マンとは思えない目を疑うような違反行為でした。
同社は外国債券営業を主力とし、その債券収益の約4割を「トルコ・リラ建て債券」に依存していました。

当時、トルコ・リラは円に対して長期的な急落(通貨暴落)トレンドが続いており、債券価格も極めて不安定な状態。
普通に考えれば、顧客に積極的に勧めるのは極めてリスクが高い局面状況です。
にもかかわらず、営業員たちは自らのノルマや歩合給を稼ぐため、
買付の意向すら示していなかった顧客に対して、以下のようなほぼデタラメなセールストークを行っていたとされています。
- 「コール条項価格に向かって確実に上がっていく」
- 「トルコ・リラベースでは○倍に必ずなる」
- 「株は変動が激しいが、債券は嘘をつかない」
- 「いつでもその時の値段で売れるから大丈夫」
将来の価格が不透明な金融商品において、「絶対上がる」「確実だ」と述べてしまう行為は、金商法に抵触する「断定的判断の提供」そのものだと言っていいでしょう。
しかも、彼ら営業員は金融庁もお墨付きを与えている証券会社、その職員です。
危険な商品をチェックなしで投入&子会社へ「厄介払い」
さらに悪質なのは会社の組織体質でしょう。
- 形式だけの新商品審査:顧客にすでに多額の損失が出ていることを知りながら、営業員からの提案を受け、ろくなリスク分析もせずに「コーラブル債(早期償還条項付ゼロクーポン債)」の導入を決定。
- 移籍先業者への責任転嫁:社内で問題視されていた歩合制営業員11名を、グループの仲介業者へと移籍させ、実質的なモニタリングを放棄。移籍した営業員は、移籍先のグループ会社でも同じように強引なリラ債の不適正勧誘を続けていました。
日本証券業協会が激怒した理由
行政処分から3ヶ月後の2026年9月16日、いよいよ自主規制機関である日本証券業協会(日証協)が動き出します。
キャピタル・パートナーズ証券に対して「過怠金3,000万円」の支払いを命じました。
日証協における「過怠金3000万円」は、自主規制団体のペナルティとしては極めて重いクラスの金額です。
金額がここまで跳ね上がった3つの要因
- 「確信犯的」な法令違反の常態化
単なる書類の記載ミスやシステムの不具合ではありません。「下落リスクを隠し、確実に儲かるとウソをついて売る」という、投資勧誘における悪質なルール違反が組織的に繰り返されていました。 - 管理部門への「威圧」と「黙認」
監視委の検査資料には、「長年にわたり営業員が管理部門の指導を軽視する企業風土があった」「トップ営業員に管理部門がモノを言えなかった」と明記されています。しかもコンプライアンス担当者はわずか2名。その2名も兼務作業に忙殺され、危険な営業を止められない状態だったのです。 - 過去の行政指導を無視し続けた再犯性
同社は過去にも当局から営業部門の管理不備について度重なる指摘を受けていました。にもかかわらず、根本的な改善を怠り、看板や所属をすげ替えるだけでリラ債の手数料稼ぎを優先し続けたことが、3,000万円という高額な過怠金に直結したのです。
プロだから安全は大間違い!証券会社だってウソをつく
「事業者登録されている証券会社を通せば安心」と思っていませんか?
それは完全な油断です。
近年、誰もが知る大手からネット証券、中堅・新興まで、証券会社の不祥事は後を絶ちません。
証券会社近年の行政処分・不祥事一覧
2026年9月|moomoo証券(新興スマホ証券)
- 処分の種類・内容:日証協 過怠金5,000万円 / 金融庁より改善命令
- 違反・不祥事:米国ETF等を「NISA成長投資枠の対象」と誤認・虚偽表示して勧誘・販売(対象外商品の誤認販売)
2024年|三菱UFJモルガン・スタンレー証券 / MUFG(大手証券)
- 処分の種類・内容:金融庁 業務改善命令
- 違反・不祥事:銀行・証券間のファイアウォール規制違反/非公開顧客情報の無断共有(情報漏洩・銀証連携の不備)
2022年|SMBC日興証券(大手証券)
- 処分の種類・内容:金融庁 業務停止命令(一部3ヶ月)・業務改善命令
- 違反・不祥事:幹部らによる相場操縦事件/ブロックオファー取引に伴う自社買い支え(組織的な相場操縦)
2022年|みずほ証券(大手証券)
- 処分の種類・内容:金融庁 業務改善命令
- 違反・不祥事:システム障害に伴う顧客対応の不備、受託業務管理態勢の不備(システム障害・管理不備)
大手証券会社による相場操縦や情報漏洩、新興スマホ証券によるNISA対象外商品の誤認販売。
そして対面証券による高リスク外債の押し貸し・押し売り。
金融庁のお墨付きがあることと、「その営業員があなたの資産を守ってくれるかどうか」は、全くの別問題だということがわかってもらえると思います。

投資・株で「カモ」にされないための鉄則
投資の世界では、知識の浅い個人投資家ほどいい「カモ」にされます。
相手がスーツを着た証券マンの場合だと、警戒心が薄れてしまい自身が知らぬまま高リスクな投資商品に、手を出してしまうのがほとんど。
資産を守るために、以下を肝に銘じてください。
新興国通貨建ての高利回り債券には裏がある
「年利20%超」「30%超」といった異常な高金利を謳うトルコ・リラや南アフリカ・ランドなどの債券は、通貨そのものが激しく減価(下落)するリスクと表裏一体です。
外貨ベースで金利をどれだけ貰っても、日本円に換算したときに通貨が暴落していれば、トータルでは壊滅的な大損になります。
メリット(利率)だけを強調し、損益分岐点の為替レートを提示しない営業スタイル、営業員は要注意だと思っていいでしょう。
証券会社の「おすすめ商品」は「会社が売りたい商品」
証券会社も営利企業です。
営業員が熱心に電話をかけてきたり、自宅まで勧誘に来たりする商品は、「顧客が儲かる商品」ではなく、
「証券会社の手数料実入りが大きい商品」です。
今回のキャピタル・パートナーズ証券の件でも、手数料率(歩合給)が高く設定されていたことが不正勧誘の温床になっていたのです。
以前記事にしたプルデンシャル生命の顧客詐取事案とかなり似た構図なので、ぜひこちらの記事もご覧になってみてください。
■【プルデンシャル生命】で再度の不正発覚!ヤバい営業員から資産を守る防衛策
公式の謝罪リリースはたったの1枚
今回の過怠金処分を受けて、キャピタル・パートナーズ証券は2026年9月16日付で公式サイト上に謝罪文書を公表しました。

全文はコチラからもPDFで閲覧できますので、ぜひともご覧になってみてください。
謝罪テンプレから透ける明らかな「逃げ」の姿勢
たった一枚だけの公式リリースを一読して、どう感じるでしょう。
書かれているのは、「お客様および関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」「真摯に受け止め、再発防止に努めます」といった、
広報マニュアルそのままの定型文よ呼べるシロモノ。
同社が犯したのは単なるミスではありません。
- リスクを意図的に隠して顧客を陥れたこと
- 顧客に大損害を与えている現実を知りながら、収益のために放置したこと
- 稼ぎ頭の営業員を子会社に逃がして看板だけ変えさせたこと
これらに対する「なぜ起きたのか」「誰がどのように責任を取るのか(経営陣の減給や退任はあるのか)」「損害を被った顧客への補償はどうするのか」。
こうした具体策や防止策が、このリリースからは全く読み取れません。
過去にも度重なる指摘を受けながら、改善するどころか悪質な手口をエスカレートさせてきた企業風土。
紙切れ一枚のプレスリリースを公式サイトの片隅に掲載しただけで、本当に変わることができるのでしょうか。
地に落ちた信頼を取り戻す道のりは、経営陣が考えている以上に険しいと言うしかありません。
【まとめ】プロの証券マンでも絶対信用は間違い
キャピタル・パートナーズ証券の行政処分および3,000万円の過怠金問題は、対面証券業界が抱える「手数料至上主義」の実態を晒しました。
「プロだから」「認可業者だから」「親身になって相談に乗ってくれたから」。
そうした固定観念、感情優先の考えは投資の世界では非常に危険です。
提示された商品に潜むリスクを検証し、疑わしいセールストークには、はっきりと「NO」の意思表示を。
今記事を最後まで読んでくれたあなたなら、理不尽な損失から資産を守る鉄壁の教訓を得たはずです。
編集部もLINEで無料相談に応じていますので、株や投資関係でお困りの際は気軽にお話ください。




『キャピタルパートナーズ証券株式会社』の口コミ
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