日本国内で衆議院の解散総選挙が報じられると、株式市場には独特の活気が生まれます。
投資家の間で注目を集めるのが「選挙銘柄」と呼ばれる企業群です。
選挙銘柄とは、国政・地方選挙の実施に伴って直接的な特需が発生したり、政治的なイベントをきっかけに市場の関心が高まったりする株式を指します。
過去の事例を振り返ると、選挙期間中には多くの資金がこれらの銘柄に流入し、短期間で株価が大きく変動する場面が見受けられました。
行政が執行する多額の選挙予算が特定の企業へ流れるため、業績の上振れ期待が選挙銘柄の株価を押し上げる要因となります。
しかし、単に選挙が行われるという理由だけで闇雲に選挙銘柄を購入するのは危険です。
選挙特需は一時的なものであるケースが多く、投資のタイミングや銘柄選定を誤れば、逆に大きな損失を抱えるリスクもはらんでいます。
この記事では、選挙銘柄の基本的な定義から、本命とされる銘柄の見極め方、さらには具体的な注目の関連銘柄の分析までを詳しく解説します。
選挙銘柄とは「選挙実施で直接的な需要が生まれる企業」
選挙銘柄とは、国政選挙や地方選挙の実施が決まった際に、その準備や運営、広報活動において自社の製品やサービスが活用される企業の株式を総称したものです。
特に国政選挙は国家的な行事であり、全国各地に投票所を設置し、数千万人の有権者が円滑に投票を行える環境を整えなければなりません。
この運営プロセスにおいて、民間企業の技術や製品が不可欠な役割を果たします。
具体的には、投票用紙の製造や配送、投票所に設置する記載台や投票箱の提供、さらには開票作業を効率化する計数機の導入などが挙げられます。
また、各世帯に届けられる投票所入場券の印刷や封入作業、公示後に街中に貼り出される選挙ポスターの製作なども重要な需要項目です。
これらの業務は公共性が極めて高く、確実な支払いが期待できる公的な案件であるため、受注企業にとっては短期的な利益貢献度が非常に高くなります。
選挙銘柄が投資家から支持される理由は、売上の発生が極めて明確である点にあります。
選挙の実施が決まれば、国や自治体は予算を執行して必要な備品やサービスを調達します。
さらに衆議院の解散総選挙はスケジュールが決まっているものではなく、内閣総理大臣の決定の下で突発的に発生する、まさに特需です。
このため、特定の分野で高いシェアを持つ企業には、通常の事業年度にはないプラスアルファの収益が約束される形となります。
市場全体が停滞している時期であっても、選挙という明確な材料がある銘柄には買いが集まりやすく、株価の底堅さを生む要因となるのは評価できる点です。
伸びる選挙関連銘柄の見つけ方【2つのポイント】
有望な選挙関連銘柄を選び出すためには、単なるブームに便乗するのではなく、その企業が持つ本来の競争力と選挙特需の相関性を分析しなければなりません。
投資家として成功を収めるためには、イベント終了後も事業を継続し、株価を維持できるだけの基盤を持った企業を特定する眼力が不可欠です。
①本業の安定性と選挙というニッチ市場での支配力
伸びる選挙関連銘柄に共通する特徴は、本業において安定した収益基盤を確立している点です。
選挙特需はあくまで一時的な利益の押し上げ要因に過ぎません。
そのため、選挙がない平時であっても着実に利益を出している企業を選ぶことが、投資のリスクを抑える基本となります。
例えば、事務用品の製造や人材派遣、情報サービスなど、既存の事業が健全に運営されていることが大前提です。
加えて、選挙という特殊な分野において高い市場シェアを握っているかどうかも重要な指標となります。
参入障壁が高いニッチな分野で独占的な地位を築いている企業は、選挙のたびに確実に受注を獲得できます。
代替が困難な技術や設備を持つ企業は、価格競争に巻き込まれにくく、効率的に利益を上げることが可能です。
このような企業は市場から「本命」と見なされやすく、資金流入の勢いも強くなる傾向にあります。
②財務基盤の健全性とリスク管理能力
選挙特需に対応するためには、短期間に集中する発注を裁くためのオペレーション能力や、資材調達のための資金力が必要です。
財務基盤が脆弱な企業では、急激な需要増に対応しきれず、機会損失を招いたりコスト増によって利益が圧迫されたりするおそれがあります。
自己資本比率が一定水準以上にあり、キャッシュフローが安定している企業は、特需を確実に業績へと反映させることができます。
注目したい選挙関連株5銘柄を徹底分析
市場で注目を集める主要な選挙関連銘柄について、個別の事業内容と投資価値を詳しく考察します。
それぞれの企業が持つ強みを評価しつつ、将来的な懸念点についても具体的に言及します。
イムラ(3955):封筒の製造販売において圧倒的な地位
| 株価 | 968円 |
| 時価総額 | 103億円 |
| 配当利回り | 3.10% |
| PER(連) | 12.39倍 |
| PBR(連) | 0.55倍 |
| ROE(連) | 4.71% |

東証スタンダード市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月30日時点
イムラは、封筒の製造販売において国内で圧倒的な地位を築いている企業です。
選挙の時期になると、有権者に届けられる投票所入場券用の封筒や、政治活動用のダイレクトメールなどの需要が急増します。
イムラの最大の強みは、全国の自治体や官公庁との間に長年培ってきた厚い信頼関係です。
選挙関連の封筒は、個人情報の保護や偽造防止といった高いセキュリティ基準が求められます。
イムラはこうした要求に応える高度な製袋技術を保有しており、短期間で大量の製品を納品できる生産体制も整っています。
また、環境に配慮した素材の活用など、現代の行政ニーズに合致した製品展開を行っている点も、安定した受注獲得に寄与しています。
一方で、社会全体のデジタル化が進展している点は、イムラにとって避けて通れない課題です。
行政手続きのオンライン化が加速すれば、将来的には郵送による通知そのものが減少する可能性があります。
選挙のたびに株価が反応する傾向はありますが、ペーパーレス化という時代の潮流に対して、どのような新事業を育成できるかが今後の焦点となります。
ムサシ(7521):投票に関する独自技術、選挙関連銘柄の本命
| 株価 | 2,440円 |
| 時価総額 | 193億円 |
| 配当利回り | 1.89% |
| PER(連) | 11.33倍 |
| PBR(連) | 0.47倍 |
| ROE(連) | 10.70% |

東証スタンダード市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月30日時点
ムサシは、投票用紙の計数機や交付機、さらには投票用紙そのものの提供において、市場で高いシェアを持つ企業です。
選挙関連銘柄の本命中の本命として、投資家の間では非常に高い知名度を誇ります。
ムサシが提供する自動計数機は、正確性とスピードが求められる開票現場において欠かせないインフラとなっています。
日本の選挙制度に特化した独自の技術は、競合他社の追随を許さないレベルに達しています。
また、投票用紙に使用されるプラスチック合成紙のユポ紙を扱っており、ハードとソフトの両面で選挙運営を支える構造は非常に強力です。
しかし、ムサシが直面している最大のリスクは、インターネット投票の導入に関する議論です。
もし将来的にオンラインでの投票が一般的になれば、物理的な投票箱や計数機の需要は根本から失われることになります。
また、選挙がない期間の業績が停滞しやすいという極端な収益構造は、投資家にとって保有期間中のストレス要因になり得ます。
ニシオホールディングス(9699):あの「必勝だるま」も!選挙関連機材をレンタル
| 株価 | 4,800円 |
| 時価総額 | 1,362億円 |
| 配当利回り | 2.75% |
| PER(連) | 10.92倍 |
| PBR(連) | 0.96倍 |
| ROE(連) | 8.95% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月30日時点
ニシオホールディングスは、建設機械のレンタルを主軸としながら、イベント用機材の提供でも国内有数の実績を持っています。
選挙においては、街頭演説用のステージやテント、音響設備のレンタルで需要を取り込みます。
ニシオホールディングスの強みは、全国に広がる営業網と、多種多様な機材を迅速に提供できる物流網です。
選挙戦は短期間に全国一斉で行われるため、地域を問わず均一なサービスを提供できるニシオホールディングスの体制は、大きな競争優位性となります。
また、選挙以外でも万博や震災復興、大規模なイベントなど、公共性の高いプロジェクトに深く関わっている点も収益の安定に寄与しています。
建設機械の需要も堅調に推移しており、選挙特需を1つの成長加速装置として有効に活用できている企業といえます。
注意すべき点は、ニシオホールディングスが手がける建設機械セクター全体の景気敏感性です。
世界的な景気減速や金利の上昇により、民間工事の需要が停滞すれば、選挙特需によるプラス分を相殺してしまうおそれがあります。
ベルシステム24ホールディングス(6183):圧倒的リソースで選挙情勢を調査
| 株価 | 1,432円 |
| 時価総額 | 1,067億円 |
| 配当利回り | 4.19% |
| PER(連) | 13.12倍 |
| PBR(連) | 1.47倍 |
| ROE(連) | 11.69% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月30日時点
ベルシステム24ホールディングスは、コールセンター運営の国内大手であり、選挙に関連する世論調査や出口調査の業務を広く受託しています。
ベルシステム24ホールディングスの強みは、短期間に大規模なオペレーターを稼働させることができる圧倒的なリソースの厚さにあります。
世論調査は速報性が重要であり、膨大な架電を短時間で行う能力はメディア各社から重宝されています。
また、自治体が実施する選挙事務の相談窓口などの受託も増えており、選挙運営のインフラとしての役割を強めています。
事業で培ったデータ分析能力を活用し、単なる電話応対以上の付加価値を提供している点は、他社との差別化要因として高く評価できます。
一方で、深刻な人手不足と人件費の高騰が、ベルシステム24ホールディングスの利益を圧迫する構造的な問題となっています。
選挙特需で売上が増えたとしても、スタッフを確保するための採用コストや教育コストがかさめば、手元に残る利益は限定的になりかねません。
労働集約的な側面が強い企業であるからこそ、生産性の向上をいかに実現できるかが今後の課題です。
パソナグループ(2168):選挙に必要なマンパワーを支える
| 株価 | 1,991円 |
| 時価総額 | 800億円 |
| 配当利回り | 3.77% |
| PER(連) | 150.95倍 |
| PBR(連) | 0.58倍 |
| ROE(連) | ▲6.11% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月30日時点
パソナグループは、人材派遣の大手として、選挙運営に関わる多種多様なスタッフの派遣を行っています。
出口調査員や投票所の受付、開票作業の補助など、選挙には膨大なマンパワーが必要です。
パソナグループの強みは、全国規模でスタッフを募集し、適切に配置できる管理能力の高さにあります。
選挙のような突発的かつ大規模な人材需要に対して、迅速に対応できる企業は限られており、パソナグループの存在感は際立っています。
人材派遣だけでなく、地方創生やリスキリング支援など、多角的な視点で事業を展開している点は、収益の安定化に寄与する好材料です。
一方、人材派遣業界は労働法規制の影響をダイレクトに受けるため、法改正によって利益率が低下する懸念も払拭できません。
選挙関連のテーマで注目されることは多いものの、業界全体が抱える法規制リスクや政治的な不確実性を十分に考慮した上での投資が求められます。
選挙銘柄を購入する際の2つの注意点
選挙関連銘柄への投資は、短期間で利益を上げるチャンスがある一方で、特有の落とし穴が存在します。
投資をギャンブルにしないためには、市場の心理や構造的なリスクを正しく理解しておく必要があります。
①材料出尽くしによる急落の回避
選挙関連銘柄における最大の注意点は、株価がピークを迎えるタイミングです。
多くの投資家は、解散総選挙というニュースを聞いてから買いを入れますが、市場のプロはさらに早い段階で仕込みを終えています。
選挙期間中はメディアでの露出が増えるため、期待感が最高潮に達しますが、投開票日が近づくにつれて利益確定の売りが出やすくなります。
実際に投開票が行われ、結果が判明したときには、既に材料は全て市場に織り込まれています。
これを「材料出尽くし」と呼び、選挙翌日から株価が急落する場面は決して珍しくありません。
選挙結果がどのような内容であれ、イベントが終了したという事実は、短期的な投資資金が流出する十分な理由となります。
選挙が終わってから買いを入れるのは、高値づかみのリスクが極めて高いため、避けるべき賢明な判断だといえます。
②一時的な特需と本業の実力を見極める
選挙関連銘柄が受ける恩恵は、そのほとんどが単発の特需です。
投票用紙や計数機の売上が一時的に数倍になったとしても、それが翌年以降も継続することはありません。
投資家が最も警戒すべきは、選挙による一過性の利益を、その企業の定常的な成長力と誤認してしまうことです。
企業の価値を判断する際は、選挙特需を除いた本来の収益力を基準にしなければなりません。
PER(株価収益率)などの指標も、特需によって一時的に低く見えているだけではないか、冷静に分析する必要があります。
もし選挙というテーマが去った後に、残された事業に成長性が見当たらないのであれば、その株価は元の水準にまで沈み込む可能性が高いです。
あくまで一時的なイベントとして割り切り、本業の安定性を軸に据えた銘柄選定を徹底してください。
【まとめ】選挙銘柄を賢く活用して堅実な投資を
解散総選挙に伴う選挙関連銘柄の物色は、株式市場において定期的に巡ってくる重要な投資テーマです。
選挙関連銘柄を投資対象とする際には、熱狂に飲み込まれない冷静な視点が何よりも重要です。
褒めるべき強みがある一方で、デジタル化の波や人手不足、政治的な不確実性といった課題も各社は抱えています。
選挙特需はあくまで企業の成長を一時的に加速させる副次的な要因として捉え、本業の健全性や将来性に軸足を置いた投資判断を心がけてください。
選挙というお祭り騒ぎの中で利益を上げるためには、市場の裏側を読み、リスクを適切にコントロールする眼力が必要です。
材料出尽くしのタイミングを予測し、実力以上の評価を受けている銘柄を見抜くことが、成功への第一歩となります。
短期的なイベントを賢く活用しつつ、中長期的な視点での資産形成を両立させることが、厳しい市場を生き抜くための最善の策といえるでしょう。
※本記事内で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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