2024年から2025年にかけて、株式市場は生成AI(人工知能)の爆発的な普及に沸きました。
しかしこれからのAI関連株は、「現実の利益を証明できた企業」と、「期待だけで終わった企業」の二極化が鮮明となっていくでしょう。
投資家は、かつてのドットコムバブルのような過熱感を警戒しつつも、具体的な収益化に成功しているAI関連株への資金流入を加速させています。
2026年に入り、これまで米国の大手テック企業の独壇場であったAIビジネスの分野に新しいトレンドが生まれてきています。
この新たなトレンドの中では、日本企業の高い技術力を活かすことができる領域もあり、日本のAI関連銘柄にも市場の注目が集まっています。
本記事では、激動するAI関連株の動向を踏まえ、これからさらに成長が期待できる日本のAI関連銘柄を5本厳選して解説します。
日本企業が存在感を発揮!生成AIから新たなフェーズへ
2026年のAI市場を語る上で欠かせないキーワードが「フィジカルAI」と「ソブリンAI」です。
これまでは、AI関連株はアメリカ市場の大手テック企業が提供するチャットボットや画像生成などのソフトウェア領域が注目を集めてきました。
しかし、現在は日本企業が得意とするロボティクスや製造装置にAIを融合させる「フィジカルAI」の分野で、日本が世界的な優位性を確立することが期待されています。
物理的なモノを高度に制御する技術は、デジタル空間上のアルゴリズムに比べて模倣が困難であり、強固な参入障壁となります。
同時に、経済安全保障の観点から国産のデータセンターやアルゴリズムを重視する「ソブリンAI」の動きが加速しました。
高市政権の下で策定された方針に基づき、日本政府は機密情報や個人データの海外流出を防ぐため、国内インフラの整備に大規模な予算を投入する方針です。
この国家戦略的な後押しが、日本のAI関連企業群に追い風をもたらしています。
もはやAIは単なる便利なツールではなく、国家の安全保障を支える重要なインフラとしての側面を強めています。
今後も伸びるAI関連株の見つけ方
投資対象として真に有望な企業を見極めるには、表面的なニュースに左右されない冷静な分析が必要です。
AI関連株の今後の成長性を測るための重要なチェックポイントを詳しく解説します。
収益化の「質」と「継続性」をチェックする
企業のIR資料を確認する際、AI関連の売上が一時的な収入なのか、継続的な収入なのかを判別することが重要です。
特に今後は、AIを導入した結果として、企業のコストがどれだけ削減されたか、あるいは売上がどれだけ向上したかという「投資対効果(ROI)」を詳細に説明できる企業が選好されるでしょう。
売上高成長率がどれほど高くても、営業利益率が横ばいや悪化傾向にある企業には注意が必要です。
AI技術のコモディティ化が進む中で、価格競争に巻き込まれている可能性があるからです。
反対に、独自の技術を保有し、他社が容易に真似できない高付加価値なサービスを提供している企業は、高い利益率を維持しながら売上を伸ばしていくことが期待できます。
インフラ需要からAI活用へのシフト
2025年までは、AI関連の投資と言えば、NVIDIA(エヌビディア)のGPU(画像処理装置)を中心としたAIサーバーやデータセンターへの投資が主流でした。
しかし、これからはハードウェアの供給が安定し、整備されたインフラをいかに活用するかというアプリケーションの競争が起こってくると考えられます。
市場の関心は、AIを動かすインフラからAIを活用して生み出す付加価値へと移行していきます。
一般ユーザーや中小企業が手軽に高度なAI機能を利用できる環境を整えた企業が、次の市場の主役となる可能性が高いでしょう。
2026年に注目したい日本のAI関連株5銘柄
これまでGAFAM(ガーファム:Google、Apple、Facebook(現Meta)、Amazon、Microsoft)などの米国巨大テック企業の独壇場であったAIの分野に新たなトレンドが生まれようとしています。
新たなAI活用においては、日本企業の技術力が発揮される分野も存在し、AI関連株は世界的に見て一極集中から多極化へ向かうと予想されます。
そのようななか、今後の日本のAIビジネスを牽引するであろう5銘柄を選びました。
厳選した5銘柄について、それぞれの成長の理由とリスク要因を具体的に記述します。
ソフトバンクグループ(9984):OpenAIにARM、世界でのAI投資を加速
| 株価 | 3,982円 |
| 時価総額 | 21.9兆円 |
| 配当利回り | 0.29% |
| PER(連) | ー |
| PBR(連) | 1.54倍 |
| ROE(連) | 10.15% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月19日時点
ソフトバンクグループは、孫正義氏(代表取締役 会長兼社長執行役員)が提唱する人工超知能(ASI)の実現に向けて、世界中でAIエコシステムの構築を続けています。
傘下の英半導体企業ARM(アーム)は、「V9アーキテクチャ」を筆頭にAIアプリケーション向けの半導体設計において高い世界シェアを握っています。
さらに、生成AIの世界的企業OpenAIへ出資を行い、かつ合弁会社である「SB OpenAI Japan」を通じて、企業向けAIサービスを販売する計画を進めています。
OpenAIは2026年1月現在、上場する計画は定まっていませんが、上場するようなことがあれば、出資が大きな利益となって返ってくる可能性が十分にあります。
一方で、ソフトバンクグループの株価は、保有資産の価値に対してディスカウントを強いられる局面が少なくありません。
投資会社という性格上、ビジョン・ファンドの投資先の評価損益が連結業績に大きな影響を与える点は、投資家にとって最大の不透明要因となります。
また、有利子負債の規模が大きく、世界的な金利動向が財務負担を増大させるリスクは、常に意識しておくべき懸念点です。
さくらインターネット(3778):日本政府のデータを守るクラウドインフラ
| 株価 | 2,805円 |
| 時価総額 | 1,206億円 |
| 配当利回り | 0.17% |
| PER(連) | 576.00倍 |
| PBR(連) | 3.92倍 |
| ROE(連) | 14.99% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月19日時点
さくらインターネットは、デジタル庁からガバメントクラウド向けのクラウドサービスに国内で唯一採択されている事業者です。
また、国内のクラウド事業者の育成のための補助金を、経済産業省から2026年までに6億円受け取ることも公表されています。
日本政府が主導するソブリンAIの構想において、さくらインターネットが運営する石狩データセンターをはじめとする施設は、機密情報を扱うためのインフラとして高い重要性を持ちます。
足下では、最新のNVIDIA製のGPUを活用し、外資系ベンダーに依存しないデータ管理を求める日本企業からの需要を取り込んでおり、成長の加速が期待されます。
注意点としては、さくらインターネットの成長を支えているのは、巨額の補助金と借入金による設備投資である点です。
GPUを継続的に調達するための費用は膨大であり、投資回収が計画を下回った場合、キャッシュフローが急速に悪化する懸念があります。
また、現在の株価は将来の利益成長を高い倍率で織り込んでいるため、AI関連株が調整局面に入った際の価格変動の激しさには警戒が必要です。
ファナック(6954):「フィジカルAI」の象徴
| 株価 | 6,597円 |
| 時価総額 | 6.4兆円 |
| 配当利回り | ー |
| PER(連) | 38.81倍 |
| PBR(連) | 3.45倍 |
| ROE(連) | 8.60% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月19日時点
ファナックは、工場用ロボットとAIを高度に融合させたスマートファクトリーの実現で世界をリードしていくことが期待されています。
2025年末にエヌビディアと協業し、産業用ロボットへのフィジカルAI実装を推進すると発表しました。
熟練工の勘と経験をAIが学習し、職人技をデジタル化することで、深刻な人手不足に悩む世界の製造現場の救世主となることに大きな期待が寄せられています。
注意点を挙げるとすれば、ファナックの業績は中国市場の設備投資サイクルに強く依存している点が挙げられます。
中国の景気回復が鈍化した場合、ファナックの受注はダイレクトに悪影響を受けます。
また、安川電機などの競合他社もフィジカルAI領域への投資を強化しており、技術の優位性を保つための研究開発費の増大が利益率を押し下げる要因となります。
ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324):AIとロボットをつなぐ技術力
| 株価 | 3,965円 |
| 時価総額 | 3,703億円 |
| 配当利回り | 0.52% |
| PER(連) | 280.04倍 |
| PBR(連) | 4.74倍 |
| ROE(連) | 4.69% |

東証スタンダード市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月19日時点
ハーモニック・ドライブ・システムズは、AIロボットの精密な動きを支える「減速機」で世界的に高いシェアを誇ります。
現在、ヒューマノイドロボット(人型ロボット)の市場が本格的な立ち上がりを見せており、高性能なハーモニック・ドライブ・システムズの製品は、AIの判断を物理的な力に変えるために不可欠な部品と期待されています。
一方で、ハーモニック・ドライブ・システムズの利益構造は、半導体製造装置や産業用ロボットの需要サイクルの影響を大きく受けやすい性質を持っています。
時価総額が極端に大きい銘柄ではないため、ネガティブなニュースが出た際には、大きな株価変動に見舞われる可能性には注意が必要です。
PKSHA Technology(3993):アルゴリズムを収益に変えるAI先駆者
| 株価 | 3,470円 |
| 時価総額 | 1,102億円 |
| 配当利回り | ー |
| PER(連) | 37.59倍 |
| PBR(連) | 3.11倍 |
| ROE(連) | 8.04% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2026年1月19日時点
PKSHA Technology(パークシャテクノロジー)は、保険業務やコールセンター業務など特定の業界に特化したAIアルゴリズムを開発し、SaaS(Software as a Service/インターネット経由でソフトウェアを利用できるサービス)型で提供することで安定したストック収益を積み上げるビジネスモデルを築いています。
導入社数は4,400社以上で、企業のカスタマーサポートや事務作業の自動化において、具体的なコスト削減実績を証明してきました(2025年10月時点、PKSHA Technologyホームページより)。
特に、大規模言語モデル(LLM)と外部データを組み合わせる技術を持ち、日本国内でもAI活用の実績を多く持つ企業の1社です。
今後、警戒すべき点としては、AIエンジニアの採用コストと人件費の上昇が挙げられます。
PKSHA Technologyのビジネスモデルでは、優秀な人材の確保が成長の絶対条件であるため、人件費の増大が営業利益を直接的に押し下げる構造的な問題を抱えています。
また、GoogleやMicrosoftなどの海外勢が提供する汎用AIの性能が向上し続ける中で、PKSHA Technologyが成長を継続するためには、独自のアルゴリズムの付加価値を維持・向上し続ける必要があります。
AI関連株の3つの注意点
AI市場の将来は明るいものですが、投資家が陥りやすい罠についても冷静に分析しておく必要があります。
①バブルの崩壊と「本物」の選別
2026年は、AIという言葉だけで買われていた銘柄の「淘汰」が加速する年となります。
株価が実力以上に膨らんでいる企業は、決算でわずかな成長鈍化が見えただけで、売りが売りを呼ぶ大きな下落を招くおそれがあります。
PER(株価収益率)が歴史的な平均値を大きく逸脱している銘柄については、その期待値に見合うだけの利益が将来的に本当に創出されるのか、厳格な精査が求められます。
②電力供給と環境規制の制約
AIの計算処理には膨大な電力が必要であり、データセンターの稼働に伴う二酸化炭素排出量は国際的な批判の対象となっています。
環境負荷の高いAI運用に対して、ESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governance)投資の観点から厳しい視線が注がれ始めています。
電力コストの増大が利益を削る要因となるだけでなく、環境規制をクリアできない企業は、大手企業からの受注を失うリスクすらあります。
安定的かつ大量の電力調達を長期的に維持することも、AI関連銘柄の成長を左右する要因となるでしょう。
③技術の陳腐化と米中対立の地政学リスク
アメリカの制裁措置による半導体輸出規制は、日本の製造装置メーカーや材料メーカーにも多大な影響を及ぼしています。
中国市場への依存度が高い企業は、政治的な判断1つで主要な販路を断たれるリスクを常に抱えています。
また、AI技術の進化スピードは極めて速く、今日の本命技術が半年後には別の技術の出現により価値を失うことも考えられます。
常に業界の最新動向をチェックし、投資先の優位性に影響を及ぼすものではないか確認する必要があります。
【まとめ】「フィジカルAI」「ソブリンAI」で日本企業の技術力を発揮
2026年に入り、これまで米国の巨大テック企業の独壇場であったAIの世界に新たなトレンドが生まれてきています。
世界的なAI競争の中で「フィジカルAI」や「ソブリンAI」など、新たなビジネスのチャンスが生まれてきており、日本企業にとっては技術力を発揮できるチャンスが来たといえます。
日本企業が持つ精密技術や製造データの蓄積は、GAFAMなどの巨大テック企業であっても容易には立ち入れない領域です。
高い技術力や独自のビジネスモデルを持つ日本企業には、大きな成長の機会となる可能性を秘めています。
ただし、AIと名がつくのみで、現実の利益に結びつけられない企業の株価は、期待の剥落とともに大きな下落を被る可能性もあります。
投資家にとって大切なことは、短期的な株価の乱高下に一喜一憂せず、企業の収益構造がAIによってどのように変化しているのか、改善しているのかを冷静に見極めることです。
※本記事内で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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