佐々木融のドル円予想は当たらない?構造的円安論と今後の為替見通しを検証

佐々木融のドル円予想は当たらない?構造的円安論と今後の為替見通しを検証

佐々木融(ささき とおる)氏と言えば、元日銀&元JPモルガン・チェース銀行という肩書を持ち、ドル円予想の第一人者です。

現在の構造的円安を早い時期から指摘し、その為替予想に注目が集まっています。

一方で、以下のような声もちらほら聞こえます。

  • 「この人、当たらないよね?」
  • 「1ドル170円なんて馬鹿げている」
  • 「円安ばっかり言ってて不安を煽ってるだけでは?」

この記事のゴールはシンプルです。

佐々木融氏のドル円予想は本当に当たらないのでしょうか?

そして、佐々木氏の言う「構造的円安」は、私たち個人投資家にとって何を意味するのでしょうか?

結論から言えば、短期トレードの答えはくれませんが、長期の資産防衛の地図は、かなり精度が高いです。

その理由を、順番にほどいていきます。

最後まで記事を読んで、「佐々木融の予想を信じるべきか、距離を置くべきか」の判断軸を手に入れてください。

佐々木融とは何者?元日銀・為替介入担当の異色な経歴

出典:日本経済新聞

円安を語らせると、なぜ佐々木融氏の言葉は重いのでしょうか?

それは「評論家」ではなく、「現場」を知り尽くした人だからです。

まずは佐々木氏の経歴から、軽く全体像を押さえましょう。

日本銀行での為替介入の実務経験

佐々木氏の原点は、1992年の日本銀行入行にあります。

とくに重要なのが、国際局為替課での経験です。

ここはまさに、市場という戦場の最前線です。

佐々木氏はそこで、国が巨額の資金を投じて相場を動かそうとする「為替介入」の実務を担当しました。

その時に得た教訓は、残酷なまでにシンプルです。 

「政府の介入で、トレンドは変わらない」。

巨大な市場の奔流に対し、人為的な操作がいかに無力かということ。

この現場感覚こそが、佐々木氏の分析から「希望的観測」を排除する土台となっているのです。

JPモルガンでトップアナリストとして評価された実績

2003年からはJPモルガン・チェース銀行への移籍です。

ここでの実績は圧倒的でした。

機関投資家、つまりプロ中のプロが選ぶ「日経ヴェリタス・為替アナリストランキング」で、なんと4年連続の1位を獲得しています。 

当たらない予想屋が、シビアなプロの世界で王座を守れるはずがありませんので、その実力は本物と見て良いでしょう。

現在は「ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)」へ

2023年12月より、「ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)」にてチーフ・ストラテジストに就任します。

これは「貯蓄から投資へ」という日本の課題に対し、地方から変革を起こそうとする佐々木氏の挑戦です。

YouTubeなどを通じて個人投資家へ直接語りかけるスタイルは、ここから加速しました。

【検証】「佐々木融のドル円予想は当たらない」は本当か?

「佐々木融」とネットで検索すると出てくる「当たらない」の文字。

火のない所に煙は立たないと言いますが、この煙の正体は、実は「視点のズレ」にあります。

なぜ「当たらない」と言われるのか?

結論から言えば、見ている時計の針が違うのです。 

大勢の人は「数ヵ月後」を見ますが、佐々木氏は「数年後」の構造変化を見ています。 

「1ドル170円に向かう」という予測に対し、3ヵ月後にそうなってなければ「外れた!」と騒ぎ立てる人がいる。

しかし、大きな潮流は変わっていない。

この時間軸のズレこそが、「当たらない」という風評の正体です。

天気予報で「夏は暑くなる」と言っているのに、「今日は涼しいじゃないか」と文句を言うようなものです。

実は的中していた!2023年~2024年の実績

数字は嘘をつきません。

近年の佐々木氏の実績を見てみましょう。

まず2023年です。

世間が円高に戻ると期待する中、佐々木氏は「円安警戒」の姿勢を崩さず、結果としてドル円は151円台まで上昇しました。

米国経済の強さが想定以上で、予想レンジの上限(145円)は超えてしまいましたが、「円が弱い」という方向性は完全に的中していました。

そして2024年です。

ここが佐々木氏の真骨頂です。

市場が米国の利下げで円高になると楽観する中、佐々木氏は「1ドル=160円もあり得る」と断言しました。

その結果、2024年7月には約38年ぶりの161.95円を記録することとなりました。

2025年年末に1ドル170円は外す

さて、問題はここからです。

佐々木氏は「2025年末に1ドル=170円」という衝撃的なターゲットを掲げていました 。 

しかし蓋を開けてみれば、2025年末のレートは150円台後半です。

170円には届きませんでした。 

これは完全に外れです。

ただし、その原因が、

  • 「構造が崩れた」のか
  • 「時間がずれただけ」なのか

については、次の章がヒントになります。

佐々木融が説く「最弱通貨円」の正体

なぜ、佐々木融氏はここまで円に厳しいのでしょうか?

それは感情ではなく、構造の問題です。

キーワードは「構造的円安」

円安は一時的な風邪ではなく、慢性的な基礎疾患である。

それが「構造的円安」です。 

日本は借金まみれで、インフレになっても欧米のように金利を上げられない。

利上げをすれば、国債の利払いで国が破綻しかねないからです。

これを市場は見透かしています。

「日本銀行は動けない」という足元を見られた結果が、主要通貨の中で独り負けする「最弱通貨」の現状なのです。

貿易赤字・デジタル赤字という見えにくい円売り要因

「円安になれば輸出企業が儲かって、円が買われる」という常識はもう通用しない。

今の日本は、モノを作って売る力を失っています。

貿易赤字は定着しました。 

さらに深刻なのが「デジタル赤字」です。 

2025年1~6月のデータですと、3兆4810億円のデジタル赤字です。

出典:日本経済新聞

iPhoneを使い、Googleで検索し、AWS上のサーバーを使う。

私たちがデジタルサービスを使うたび、巨額の円がドルに換えられ、シリコンバレーへ吸い上げられていく。

この支払いは、円安になったからといって止められません。

この「見えない円売り」が、ボディブローのように円の体力を奪っているのです。

新NISAが円安圧力になるという逆説

「貯蓄から投資へ」という国策も、皮肉な結果を生んでいます。

新NISAで私たちが買っているのは何でしょう? 

そう、「オルカン」だったり「S&P500」だったりします。

日本の個人が持つ虎の子の資産(2000兆円)が、雪崩を打って海外資産へ逃避している。

これは実質的な「キャピタルフライト(資本逃避)」です。 

「老後資金を守りたい」という個人の切実な行動が、機械的な円売り・ドル買いを引き起こし、さらなる円安を招いて自分たちの首を絞める。

なんとも悲劇的なパラドックスではありませんか。

金利ではなく「実質金利」を見る理由

ニュースでは「日銀が利上げ!」と騒ぎますが、佐々木氏は冷ややかです。 

見るべきは名目金利ではなく、インフレ率を引いた「実質金利」だからです。 

アメリカの実質金利はプラスです。

対して日本は、インフレ率が金利を上回る「大幅なマイナス」です。

佐々木氏は、実質金利が大幅にマイナスの状態で通貨安となるのは当たり前とロイターのインタビューで語っています。

出典:Reuteres

お金は、価値が減る場所(日本)から、増える場所(米国)へ流れる。

物理法則のように抗えないこの金利差が埋まらない限り、円安の奔流は止まらないのです。

佐々木融に対するネット・SNSの口コミ・評判

佐々木融氏のドル円予想は投資家からどう評価されているのでしょうか?

その声をネットやSNSから拾ってきました。

予想の正確さと的中実績が評価

プロや勉強熱心な投資家からは、絶賛されています。 

「論理に飛躍がない」「データに基づいている」といった声が多く、日経ヴェリタスランキング4年連続1位の実績は伊達ではありません。

とくに、近年の円安トレンドを早期に言い当てたことで、「佐々木さんの言う通りにしておけばよかった」という嘆きと賞賛が入り混じった声がネットやSNSでも散見されます。

円安偏重すぎるとの声も

一方で、「常に円安と言っているだけ」という批判もあります。

日本円の弱さに容赦なく言及する佐々木氏の姿勢に反発する層もおり、「ポジショントークだ」「日本売りを煽るな」といった感情的な反発を招きやすいのも事実です。

しかし、耳障りの良い嘘より、耳の痛い真実こそが、投資には必要なのも事実です。

佐々木融の最新見解はどこで見れる?(コラム・YouTube・本)

佐々木融氏の思考をトレースするための媒体は多数あります。

コラム・連載(ブログ的活用)

テキストでじっくり読みたい派には、コラムがおすすめ。 

「ロイター(Reuters)」「東洋経済オンライン」「週刊エコノミスト Online」などで定期的に執筆しています。

例えば、ロイターなら下記のようなコラムを執筆しています。

出典:Reulers

YouTube動画

FFGに移籍してから、動画での露出が激増しました。 

「佐々木融のマーケットLIVE!」などは必見です。

トランプ発言や日銀会合の直後に、佐々木氏がどう分析しているかをライブ感たっぷりに視聴できます。

難解な為替の仕組みを、グラフを使って視覚的に解説してくれるため、初心者でも「なぜ円安なのか」が腑に落ちるはずです。

書籍(本)

体系的に学びたいなら、やはり書籍でしょう。 

名著『弱い日本の強い円』 は、過去の円高局面を分析したものですが、その理論的枠組みは現在にも通じます。

出典:Amazon

なぜ昔は円高だったのかを知ることで、今の円安の異様さが際立ちます。

【まとめ】佐々木融の考えは個人投資家にどう役立つ?

佐々木融氏の分析は、「今すぐ儲ける」ためではなく、「静かに資産を守る」ためのものとして役立ちます。

佐々木氏のドル円予想は、短期では外れることもある。

これは事実です。

しかし、 長期トレンドの精度は、極めて高い。

よって、天気予報ではなく、気候変動への警告として使うのが最適解です。

佐々木氏の説に従うなら、積立投資で少しずつドルや世界株を持つこと。

それが、構造的に弱りゆく日本円に対する、唯一にして最大の処方箋です。

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株サイト比較ナビ 編集者

株サイト比較ナビ

2016年に本サイトを設立。専門性・独自性を軸に多種多様な金融商品・サービスを調査&比較し、初心者から中上級者までの投資家の方々へお役立ち情報を提供しています。

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