成長する企業へ投資を行い、大きなリターンを得るグロース株(成長株)投資は、バリュー株(割安株)投資と並び、株式投資の基本的な手法です。
2026年以降、日本の市場は長らく続いたデフレ経済からの脱却、そして金利のある世界への回帰に直面します。
そのような環境下、今後グロース株に求められるのは、単なる期待感だけではありません。
不透明な景気動向や金利上昇のプレッシャーを跳ね返し、自らの力で利益を創出できる本物のグロース株だけが、投資家の資金を集める選別相場へと突入します。
本記事では、激変するであろう2026年以降の相場において主役を担うグロース株の見極め方と、今こそ注目すべき厳選5銘柄を深掘りしていきます。
グロース株(成長株)とは?バリュー株(割安株)との違いは?
株式投資の世界で常に議論の的となるのが、「グロース株(成長株)」と「バリュー株(割安株)」のどちらに投資すべきかという命題です。
グロース株(成長株)とは、企業の売上や利益が市場平均を大きく上回るペースで拡大し、将来的にさらなる飛躍が見込まれる銘柄をいいます。
投資家は、その企業が持つ技術力やビジネスモデルの革新性に期待し、現在の実力以上に評価された高い株価であっても買い進めます。
いわば「未来の利益を今の価格で先取りする」投資手法といえるでしょう。
一方でバリュー株(割安株)とは、企業の本来持っている資産価値や収益力に対して、株価が不当に安く放置されている銘柄をいいます。
バリュー株は「現状の裏付け」を重視するのに対し、グロース株は「将来の成長」に賭けるのが定石です。
しかし、2026年以降におけるグロース株を取り巻く環境は、これまでよりも一段とシビアなものへと変化しています。
なぜなら金利上昇局面では、将来稼ぐお金の現在価値が目減りするため、利益の出ない成長ストーリーでは容赦なく売られる対象となるからです。
つまり、これからのグロース株に求められるのは、高い成長率を維持しながらも、それを着実にキャッシュに変える力、稼ぐ効率です。
PER(株価収益率)が何十倍、時には百倍を超えていたとしても、その高評価を正当化できるだけの圧倒的な収益拡大シナリオを描けているか。
それこそが、バリュー株には真似できないグロース株最大の魅力であり、投資家がリスクを取ってでも追いかけるべき果実の源泉なのです。
伸びるグロース株を見つける「3つの鉄則」
グロース株を見極めるためには、漠然としたイメージで銘柄を選定してはいけません。
確たる基準を持って成長する株を選択することがグロース株投資の重要な点です。
続いてグロース株を見つける「3つの鉄則」を解説します。
①「増収増益」の継続性と利益の質を見極める
グロース株投資スクリーニングの王道は、何といっても「売上の拡大」です。
しかし、2026年以降の選別相場では、単に売上が伸びているだけでは不十分だといわざるを得ません。
グロース株において真に評価されるのは、売上の伸びが確実に利益の積み上げに直結している質の高い増益を実現している企業です。
例えば、多額の広告宣伝費を投じて強引に売上を作っている企業は、宣伝を止めた瞬間に成長が止まるリスクをはらんでいます。
チェックすべきは、売上の伸びに対して営業利益も適切に伸びているかという点です。
②2026年以降の「国策・社会課題」という最強の追い風
個別の企業の努力だけでは抗えないのが、マクロ経済や社会構造の変化です。
逆に言えば、国策や深刻な社会課題に合致したテーマを持つ企業は、それだけで巨大な先行利益を得る権利を手にしています。
2026年以降に注目すべきは、AI(人工知能)の実装フェーズです。
「AIを使っています」という期待感だけの段階は終わり、2026年以降は「AI導入によってこれだけ人件費を削り、生産性を上げた」という実益が問われます。
特に日本が直面する致命的な労働力不足を、省人化プラットフォームや自動化技術で解決する企業は、単なる一過性のブームではなく、社会インフラとしての地位を確立する有望な投資先となる可能性があります。
③ビジネスモデルに他社が真似できない強みがあるか
最後に確認すべきは、その企業のビジネスモデルです。
どれほど高い成長率を誇っていても、参入障壁が低ければすぐに競合他社に市場を奪われ、過当競争による利益率の低下を招きます。
ここで重要になるのが、他社が容易に真似できない独自性の有無です。
具体的には、一度導入すると他社製品への切り替えが困難になる「スイッチングコスト」の高さや、利用者が増えるほどサービスの利便性が加速度的に高まる「ネットワーク効果」を保有しているかがカギを握ります。
例えば、企業活動の根幹を支える基幹システムや、特定の業界で圧倒的なシェアを持つプラットフォームなどがこれに当たります。
2026年以降の厳しい競争環境下で自滅しないためには、こうした独自のビジネスモデルを持った銘柄を見つけ出すことが、負けない投資への近道となります。
2026年以降に飛躍が期待される有望グロース株5銘柄
ここまでグロース株の見極め方を説明してきました。
ここからは2026年以降に飛躍が期待される有望グロース株を5銘柄紹介します。
弁護士ドットコム(6027):リーガルテックの成長をAIが加速
| 株価 | 2,994円 |
| 時価総額 | 677億円 |
| 配当利回り | - |
| PER(連) | 56.37倍 |
| PBR(連) | 11.18倍 |
| ROE(連) | 22.14% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月19日時点
電子契約サービスの先駆けである「クラウドサイン」を擁する弁護士ドットコムは、単なるITツール企業からAIプラットフォーム企業への進化を鮮明にしています。
弁護士ドットコムの強みは、長年蓄積された国内最大級の法律相談データと、既に多くの自治体や大企業を顧客に持つネットワーク効果にあります。
さらに今後は、独自のリーガルデータベースをAIを活用して検索や抽出、さらに論点の整理まで行う「Legal Brain(リーガル ブレイン)エージェント」など、AIを利用したあらたなサービスの収益貢献も期待できます。
従来のSaaSモデルに「高単価なAIソリューション」が加わることで、利益率の大幅な向上の可能性があります。
法律という一般人には敷居の高い分野で、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を促進する独自のポジショニングを有する企業といえるでしょう。
ただし、電子契約市場そのものは成熟期に入りつつあります。
他社の低価格攻勢が激化する中で、市場シェアを維持するためのマーケティングコストが、利益成長を阻害するリスクは常に注意が必要です。
M&Aキャピタルパートナーズ(6080):大廃業時代をビジネスチャンスに
| 株価 | 3,400円 |
| 時価総額 | 1,079億円 |
| 配当利回り | 2.01% |
| PER(連) | 14.93倍 |
| PBR(連) | 2.49倍 |
| ROE(連) | 13.23% |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月19日時点
日本は団塊の世代が引退年齢に差しかかり、中小企業の事業承継問題が社会的なピークを迎える時期に入っています。
M&Aキャピタルパートナーズは精鋭のコンサルタントによる高い成約単価が特徴で、業界内でも屈指の利益率を誇ります。
M&Aキャピタルパートナーズのような仲介ビジネスは、在庫を持たず、成約がそのまま利益に直結する非常に効率の良いモデルです。
案件の大型化が進めば、有望な利益成長が見込まれます。
また、貯まったキャッシュを成長投資や株主還元へどう活用するかという点も、投資家からの関心が高いポイントです。
懸念点を挙げるとすれば、人への依存の高さです。
優秀なアドバイザーが独立、あるいは競合へ移籍することで、一時的に成約件数が停滞するリスクがあります。
放電精密加工研究所(6469):宇宙・エネルギーの国策を支える独自技術
| 株価 | 2,453円 |
| 時価総額 | 268億円 |
| 配当利回り | 0.61% |
| PER(連) | 61.34倍 |
| PBR(連) | 3.41倍 |
| ROE(連) | 8.45% |

東証スタンダード市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月19日時点
放電精密加工研究所は三菱重工との資本業務提携を行っており、国策である航空宇宙産業やガスタービン分野で不可欠な技術を持っています。
2026年以降に政府の成長戦略の恩恵を大きく受ける企業としても注目できます。
放電精密加工研究所の独自技術である「放電加工」は、他社が容易に真似できない高い参入障壁となっています。
製造業のグロース株として、ニッチな領域で圧倒的なシェアを握り、増収増益のサイクルが加速するシナリオは非常に現実的です。
ただし、製造業ゆえに最新設備の導入に伴う減価償却費が重くのしかかる時期があります。
また、プロジェクト単位の受注が多く、四半期ごとの業績にバラつきが出やすい点には忍耐が必要です。
ダイフク(6383):物流DXの代表的銘柄「スマートロジスティクス」を深化
| 株価 | 4,863円 |
| 時価総額 | 1.8兆円 |
| 配当利回り | 1.56% |
| PER(連) | 23.53倍 |
| PBR(連) | 4.24倍 |
| ROE(連) | ー |

東証プライム市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月19日時点
物資の保管・搬送システムで世界トップシェアを誇るダイフクは、2026年に向けてさらなる飛躍が期待されます。
EC市場の拡大に伴う物流拠点の自動化は一過性のブームではなく、労働力不足という構造的課題を解決する「国策」に近いテーマです。
ダイフクの強みは、単なる機器販売に留まらず、AIやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を駆使して倉庫全体を最適化する「スマートロジスティクス」の構築力にあります。
特に半導体生産ライン向けのクリーンルーム搬送システムは、世界的な半導体投資の加速が追い風となるでしょう。
一方で、ダイフクは純粋なIT企業とは異なり、製造・設置を伴うため、景気動向や企業の設備投資意欲に業績が左右されやすい側面があります。
新規受注の勢いを維持できるかが焦点となるでしょう。
FFRIセキュリティ(3692):国策が後押しするサイバーセキュリティ
| 株価 | 7,000円 |
| 時価総額 | 573億円 |
| 配当利回り | 0.20% |
| PER(連) | 77.43倍 |
| PBR(連) | 17.75倍 |
| ROE(連) | 27.65% |

東証グロース市場 出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月19日時点
サイバー攻撃が国家レベルの脅威となるなか、独自の標的型攻撃対策技術を持つFFRIセキュリティは、まさに「国策銘柄」の筆頭候補といえます。
注目すべきは、政府が掲げる能動的サイバー防御の導入です。
官公庁への導入実績も豊富で、安全保障上の観点から「純国産」であるFFRIセキュリティへの依存度は今後さらに高まることが期待されます。
2026年に向けては、国家プロジェクトへの関与増加とともに、知名度のさらなる向上、そして企業としての成長が見込めます。
一方で、FFRIセキュリティの懸念点は利益率のボラティリティの高さです。
政府系などの大型受託案件に業績が左右されやすく、プロジェクトの進捗次第では四半期ごとの数字が大きく振れる傾向にあります。
また、競争の激しい分野であり、海外も含めた競合他社がより低価格で高度なAIソリューションを日本市場へ浸透させた場合、技術的優位性を維持し続けられるかが課題となります。
知っておきたいグロース株投資3つの注意点
企業の成長とともに大きな利益が期待できるグロース株投資ですが、知っておくべき注意点が存在します。
ここからは、グロース株投資の際に留意したい点を3つ紹介します。
①割高なバリュエーションという「諸刃の剣」
グロース株の最大のリスクは、その価格設定にあります。
期待先行で買われるため、PERが100倍を超えることも珍しくありません。
これは、将来の利益を何十年分も先取りしている状態です。
金利環境が一段とシビアになれば、わずかな成長鈍化でも過大評価と見なされ、株価が下落するリスクがあります。
しかし、グロース株投資で大切なのは今のバリュエーションだけで高いと切り捨てるのではなく、その数字を数年後の成長が正当化できるかどうかを見極める視点です。
②ハイリスク・ハイリターンに耐える忍耐力
グロース株は、業績が少しでも市場予想を下回ると、株価が大きく下落する銘柄です。
このボラティリティ(価格変動)の大きさは、安定したバリュー株の比ではありません。
特に最近の市場は情報拡散のスピードが速く、一度パニック売りが始まると、企業のファンダメンタルズを無視した暴落を招くこともあります。
一時的な調整なのか、それとも致命的な下落なのか。
それを見極め、乱高下に動じない精神力と、リスク許容度に見合ったポジション管理が、成功への条件となります。
③時には「勇気ある撤退」も必要
「いつか戻る」という根拠なき自信は、グロース株投資において最も避けるべき態度です。
グロース株の命は成長シナリオにあります。
四半期決算ごとに数字をチェックし、もしも当初想定していた成長の前提が崩れたと判断したなら、損失が出ていても速やかに撤退すべきです。
損切りは敗北ではなく、次の有望な銘柄に資金を移すための前向きな戦略です。
激動のマーケットで資産を守り、かつ最大化させるためには、執着を捨ててシナリオの可否を冷徹に判断する勇気ある撤退が、あなたの資産を致命傷から救う手段となるでしょう。
【まとめ】グロース株の主役をつかむためにすべきこと
2026年以降のグロース株投資には、金利の上昇という非常に大きな変化に、いかに対応するかが焦点となります。
グロース株投資は、漠然とした期待で行うものではなく、確かな成長シナリオをもち、収益の裏付けがある企業へ投資を行うものです。
もちろん、グロース株投資には常に高いボラティリティの影がつきまといます。
また、割高なバリュエーションや過当競争といったリスクを無視して突き進むのは、投資ではなく博打に他なりません。
しかし、常に成長のシナリオをチェックし、動向をアップデートし続けることで市場の荒波を乗り越えることができるはずです。
市場の荒波を乗り越え、2026年以降の勝者となるための羅針盤として、本記事を参考材料にしてください。
※本記事内で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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