「証券会社の担当者におすすめされて買った『ノムラ日本株戦略ファンド』が、ずっと塩漬けになっていた……」
「最近、『野村国内株式アクティブオープン』に名前を変えたらしいけれど、このまま持っていて大丈夫なのだろうか?」
もしあなたがそんな不安を抱えているのなら、その直感は正しいかもしれません。
2000年のITバブル絶頂期に設定され、「野村の社運を賭けた」とまでいわれた巨大ファンド「ノムラ日本株戦略ファンド」。
しかし、その実は25年という四半世紀にわたり、多くの投資家の資産を拘束し、期待を裏切り続けた「運用の失敗」の歴史そのものでした。
本記事では、なぜノムラ日本株戦略ファンドが失敗したのか、その構造的な真因を専門的な視点で解剖します。
さらに、2025年の併合によって生まれた「野村国内株式アクティブオープン」の現状を冷徹に分析・評価します。
今後あなたがとるべき行動と、二度と損しないための「ファンド選びの極意」をお伝えします。
かつての「夢のファンド」が残した教訓を、あなたのこれからの資産防衛に役立ててください。
ノムラ日本株戦略ファンドとはどんな投資信託だった?
まずは、ノムラ日本株戦略ファンドがどのような背景で生まれ、どのような「夢」を売っていたのかを振り返りましょう。
そこには、金融業界特有の「熱狂」と「計算」が入り混じっていました。
ITバブル期に誕生した「野村の社運を賭けた巨大ファンド」
ノムラ日本株戦略ファンドは2000年2月、ITバブルが最高潮に達していた時期に設定されました。
当時は「ニューエコノミー」という言葉が踊り、株価は上がって当たり前という空気が市場を覆っていました。
ノムラ日本株戦略ファンドは、野村アセットマネジメントが運用し、野村證券の圧倒的な販売力によって、わずか短期間で約1兆円を集めた「怪物ファンド」です。
「Big Project-N」というコードネームが示す通り、社内外からの期待は異常なほど高いものでした。
「戦略ファンド」という名前が生んだ期待と誤解
「戦略」と聞くと、何やら緻密で、先進的で、指数なんて軽く超えていきそうな響きがあります。
「成長株」「テーマ投資」「未来志向」。
そんなイメージを抱いた投資家も多かったでしょう。
しかし、実際の運用はごく一般的な日本株アクティブ運用でした。
特別な魔法があるわけでもなく、巨大な資金を抱えたことで動きは鈍くなり、結果として市場平均と大差ない動きになってしまいました。
名前が立派でも、中身が伴うとは限らない。
これが最初の教訓です。
ノムラ日本株戦略ファンドはなぜ失敗したのか?
「失敗」と断定するのは言葉が強すぎるでしょうか?
いいえ、25年間のデータを見れば、それは否定しようのない事実です。
ここでは、なぜここまでノムラ日本株戦略ファンドのパフォーマンスが悪化したのか、3つの致命的な理由を解説します。
理由1:最悪のタイミングと「塩漬け」心理
ノムラ日本株戦略ファンドの設定直後、ITバブルはあっさり崩壊しました。
スタートから大きな含み損というのは、投資信託として、かなり致命的です。
それでも多くの投資家は売れませんでした。
「野村だから」「いつか戻るはず」。
そんな希望が、損切りという合理的な判断を遠ざけます。
ノムラ日本株戦略ファンドの基準価額が、設定来の10,000円を回復したのはいつだと思いますか?
なんと、設定から約17年半後の2017年9月です。

17年という、いわば生まれた子どもが高校生になるまでの間、投資家は元本割れ、あるいは利益の出ない状態に置かれ続けました。
この「時間の浪費」こそが、最大級の失敗といえるでしょう。
理由2:高すぎるコスト
ノムラ日本株戦略ファンドの信託報酬は年率2.09%です。
現代のインデックスファンドが年率0.1%程度であることを考えると、これは異常な高コストです。
仮にファンドが頑張って市場平均並みの年3%のリターンを出したとしても、そこから約2%が手数料として引かれれば、手元に残るのはわずか0.9%程度です。
これでは資産が増えるはずがありません。
17年間保有した場合、運用資産の約34%が手数料として消えた計算になるという試算もあります。
運用が冴えなくても、手数料だけは確実に取られる。
これでは資産形成どころか、資産削減です。
理由3:巨大すぎる運用規模の罠
「1兆円」という資金規模は、販売会社にとっては勲章でしたが、運用担当者にとっては呪いでした。
巨額の資金を日本株市場だけで運用しようとすれば、自分の買い注文で株価を吊り上げてしまい、高値づかみをさせられることになります。
その結果、無難な大型株中心の構成になり、市場平均と似た動きしかしなくなります。
これが「クローゼット・インデックス化」です。
規模のメリットがデメリットに変わる、アクティブファンドの典型的な失敗例です。
ノムラ日本株戦略ファンドの口コミ・評判を検証
当然ながら、ノムラ日本株戦略ファンドの評判は悪いです。
ネット社会の進展により、これまで営業担当者との会話の中に閉じ込められていた投資家の「怨嗟の声」が可視化されるようになりました。
大勢の資産を溶かした伝説のゴミ投資信託
ネット上には、四半世紀にわたる投資家の怒りが蓄積されています。
運用開始直後の暴落から長期間マイナスが続いたため、「ゾンビファンド」という不名誉なレッテルまで貼られました。
アベノミクスで日経平均株価が上昇しても、このファンドの戻りは鈍く、市場平均(日経平均株価とTOPIX)と比較して大きく劣後していることへの失望も根深いものがありました。
手数料で儲ける販売会社にとって美味しい商品
辛辣な専門家や投資リテラシーの高い層からは、「売り手が儲かる典型的なダメな投資信託」として認知されていました。
金融庁が「顧客本位の業務運営」を叫ぶようになると、高コストで回転売買を促すようなこの手の商品は、まさに「過去の遺物」として批判の的となりました。
「手数料目的のファンド」「情弱のための商品」といった厳しい評価は、このファンドのビジネスモデルそのものを突き刺しています。
ノムラ日本株戦略ファンドは併合でどうなった?
長らく「負の遺産」であったノムラ日本株戦略ファンドにも、ついに終わりの時が来ました。
しかし、それはハッピーエンドとはいえないようです。
野村国内株式アクティブオープンへの併合の背景
2025年、野村アセットマネジメントはついに重い腰を上げました。
「ノムラ日本株戦略ファンド」を、「ノムラ・ジャパン・オープン」のマザーファンドへ統合し、名称を「野村国内株式アクティブオープン」へと変更することを発表したのです。

公式には「効率的な運用体制への移行」としていますが、実態は運用不振と悪化した評判をリセットするための「後始末」といえるでしょう。
ファンドのスペックの変化は?【スペック比較】
では、ファンドの併合によって中身はどう変わったのでしょうか?
比較してみましょう。
| 変更前 (ノムラ日本株戦略ファンド) | 変更後 (野村国内株式アクティブオープン) | 評価 | |
| 信託報酬 (税込) | 年率2.09% | 年率1.672% | 引き下げられたが、 依然として高コスト |
| 運用形態 | 単独運用 | マザーファンドへの投資 | コスト削減効果はあるが… |
| 名称 | 戦略性を強調 | 一般的な名称 | 過去の悪評との決別意図か |
確かに信託報酬は下がりました。
しかし、騙されてはいけません。
1.672%という数字は、0.1%台が当たり前のインデックスファンドと比較すれば、依然として「超高コスト」の部類に入ります。
ファンド併合後の運用成績は改善している?
2025年後半のデータを見ると、直近1年のリターンはプラス約35%と好調です。
直近1年だと日経平均株価とTOPIXを上回る成績を上げています。

ただし、これは日本株市場全体が好調だった影響が大きく、その波に上手く乗れた感があります。
また、野村国内株式アクティブオープンはコストが1.672%と高いため、長期になるほど苦しくなります。
よって、この成績を維持し続けられるのかは疑問です。
そうした意味でも、根本的な問題はノムラ日本株戦略ファンド時代からあまり変わってないのではないでしょうか。
ノムラ日本株戦略ファンドのような金融商品を購入しないためには?
ノムラ日本株戦略ファンドの失敗からは何を学ぶべきでしょうか?
二度と高コストな「ゴミファンド」をつかまされないための防衛策を伝授します。
対策1:「テーマ型」「キャンペーン」には近づかない
証券会社が「社運を賭けた」「今がチャンス」と大々的にキャンペーンを張る時、それは往々にして「相場の天井」です。
「AI」「ロボティクス」「脱炭素」など、その時々の流行り言葉がついた「テーマ型ファンド」も同様です。
ブームが去れば資金が抜け、基準価額は下落し、あとは放置されるのがオチです。
金融機関の熱量と投資家の利益は、しばしば反比例することを肝に銘じましょう。
対策2:目論見書で「コスト」を1秒チェック
投資において唯一コントロールできる変数は「コスト」です。
購入前に必ず「目論見書」を開き、以下の数字を確認してください。
- 購入時手数料3%超:論外です。ネット証券なら無料(ノーロード)が常識
- 信託報酬1.5%超:黄色信号です。インデックスで0.2%以下、アクティブでも1.0%以下が理想
コストは、ほぼ確実にあなたのリターンを削ります。
対策3:営業マンは「販売のプロ」であり「運用のプロ」ではない
窓口の営業担当者はあなたの資産を増やすプロではありません。
彼らは「会社に利益をもたらす商品を売るプロ(販売のプロ)」です。
彼らのノルマ達成とあなたの資産形成は必ずしも一致しません(利益相反)。
「あなたのために」という言葉の裏には、高い手数料収入という本音が隠れていることを理解し、自分の資産は自分の知識で守るリテラシーを持ちましょう。
【まとめ】ノムラ日本株戦略ファンドの失敗から学ぶべきこと
ノムラ日本株戦略ファンドの25年は、日本の資産運用業界の「歪み」を映し出す鏡のような存在でした。
バブルの熱狂、高コストによる資産の目減り、巨大すぎて動けない運用体制。
これらはすべて、投資家不在の論理で商品が設計されていた証拠です。
2025年に野村国内株式アクティブオープンとして生まれ変わりましたが、コスト面(年率1.672%)では依然として割高です。
「名前が変わっても、中身の本質はそう簡単には変わらない」という状況であり、長期的な資産形成の核にするには不向きといわざるを得ません。
直近のパフォーマンスに惑わされず、より低コストな金融商品へ資金を移すことを検討すべきでしょう。
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『「ノムラ日本株戦略ファンド」の運用方針等の変更について』の口コミ
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