「フィスコ」という名は投資をしている人なら一度は目にしますよね。
ところが、最近ではそのフィスコに「やばい」「怪しい」といったネガティブな検索ワードがつきまとうようになりました。
かつては個人投資家の頼れる味方だったはずのフィスコに、一体何が起きているのでしょうか?
結論から言えば、フィスコは「情報インフラとしては優秀」ですが、「企業としてのコンプライアンスや暗号資産事業」には、笑えないレベルの闇が広がっています。
本記事では、一般投資家が抱く「フィスコはやばいのか?」という疑問に対し、相場操縦の裏側から、瀕死のフィスココインの実態、決算から見る財務状況、評判までを徹底的に解剖します。
この記事を読めば、フィスコというツールをどう使いこなし、どのリスクから逃げるべきかが明確になるでしょう。
フィスコとはどんな会社?なぜ「やばい」と言われるのか

まずは前提整理です。
フィスコ(証券コード:3807)は怪しい会社などでなく、むしろ日本の金融市場を下支えしてきた、れっきとした上場企業です。
ただし、その歩み方が少々…いや、だいぶ危うかったのも事実です。
日本最大級の金融情報インフラとして君臨
フィスコは、Yahoo!ファイナンスやネット証券、機関投資家向け端末に金融ニュースを供給する国内最大級の情報ベンダーです。
とくに小型株・材料株・市況コメントの分野では、「とりあえずフィスコを見る」という投資家も少なくありません。
ニュース配信の網羅性・速報性は今なお一級品で、個人投資家が無意識に目にしている情報の裏側に、フィスコがいるケースは非常に多いです。
この点だけを見ると、「やばい」どころか、日本の相場インフラの一部と言っても過言ではありません。
「やばい」と言われる最大の理由:相場操縦と行政処分
では、なぜそんな優良企業であるフィスコが「やばい」と指弾されているのでしょうか?
その決定的な理由は、2024年から2025年にかけて世間を騒がせた、証券取引等監視委員会(SESC)による課徴金納付命令の勧告です。

事の顛末はこうです。
フィスコは自社で発行した暗号資産「フィスココイン(FSCC)」の価格を釣り上げるために、市場の実勢を無視した買い注文を繰り返し、人為的に価格を操作したと認定されました。
いわゆる「相場操縦」ですね。
なぜそんなことをしたのかと言えば、決算の見栄えを良くするためです。
会計ルール上、コインの価格が下がると巨額の損失を計上しなければならないため、決算期末に合わせて無理やり価格を維持しようとしたのです。
「情報の信頼性」を売りにする会社が、裏でこっそり相場を操っていたわけですから、投資家からの信用が地に落ちるのも無理はありません。
フィスココイン(FSCC)と暗号資産事業の「闇」
フィスコの「やばさ」を象徴するのが、フィスコが発行する「フィスココイン(FSCC)」です。
一時は「上場企業初のトークン」として持て囃されましたが、現在の状況は投資家にとって悪夢以外の何物でもありません。
ここでは、その悲惨な現状を深掘りします。
フィスココインの将来性:会社自身が「新たな取り組みなし」と発表
「フィスココインに将来性はありますか?」
もしあなたがそう尋ねようとしているなら、その答えはフィスコ自身が出しています。
なんと、直近の決算資料における暗号資産事業については、「新たな取り組みの予定はしていない」と記載されているのです。

これは発行体が将来性はないよと宣言しているのと同じようなものです。
そのような事業に、将来性を期待する必要はないでしょう。
かつては株主優待に使えたり、レポート購入に使えたりという「トークンエコノミー」の夢が語られましたが、現状は事業として事実上の停止状態にあると言わざるを得ません。
会社に見捨てられたコインに、未来があるはずがないのです。
価格推移の現実:暴落と流動性の枯渇
チャートを見れば、その悲惨さは一目瞭然です。
2022年の暗号資産バブル期には一時500円にまで達していたフィスココインの価格が、現在で約16円前後を彷徨っています。

下落率は驚異の約97%です。
最高値でつかんだ人の資産は、ほぼ紙くず(電子ゴミ)と化しました。
さらに恐ろしいのは、価格が下がったことだけではありません。
「売りたくても売れない」のです。
日々の取引高が極めて少なく、流動性が完全に枯渇しています。
かつては「レンディングで高金利」といった甘い言葉もありましたが、元本が崩壊していれば、利息は焼け石に水です。
多くの投資家が、静かに、しかし確実に資産を溶かしました。
フィスコの決算は「やばい」のか?財務分析
「相場操縦」に「コインの暴落」。
これだけ悪材料がそろえば、フィスコの財布事情も火の車なのではないでしょうか。
決算書を紐解くと、本業の稼ぎを投資の失敗が食い潰す、何とも皮肉な構造が浮かび上がってきます。
暗号資産の失敗が招いた巨額赤字
フィスコの損益計算書(P/L)は、非常にわかりやすい「自爆」の形をしています。
本業である情報サービス事業は、前述のとおりしっかりと黒字を稼ぎ出しています。
しかし、会社全体における2024年12月期の最終損益は5億3,000万円の赤字です。
犯人は明白、暗号資産事業です。
保有するコインの価値が下がったことによる評価損など、約2億7,000万円もの損失が計上され、本業の利益をすべて吹き飛ばしてしまいました。

さらに営業キャッシュフローもマイナスとなっており、手元資金も心許ない水準まで減少しています。

財務の健全性という観点からは、間違いなく「危険水域」といえるでしょう。
複雑な資本関係への懸念
フィスコの財務を読み解く上で、もう1つ厄介なのが「資本関係の複雑さ」です。
現在の資本関係は以下のとおりです。

主要株主であるシークエッジ・ジャパン・ホールディングスや、関連会社のCAICA DIGITALなどとの間で、株式の持ち合いや事業譲渡が頻繁に行われています。
例えば、暗号資産取引所「Zaif」がフィスコの子会社になったかと思えば、すぐにCAICAグループへ譲渡されるなど、事業主体がコロコロと変わります。
「グループ内で利益を調整しているのではないか?」「資金の流れが見えにくい」といった、いわゆる「トンネル会社」的な懸念を市場に抱かせるには十分な不透明さです。
このガバナンスの欠如も、投資家から「フィスコはやばい」と警戒される大きな要因となっています。
投資対象としてのフィスコの口コミ・評判
では、実際に投資家たちはフィスコをどう見ているのでしょうか?
ネットやSNSの声を集めてみると、厳しい意見が大半を占める中で、一部の猛者たちは別の視点を持っているようです。
企業として信用できないという声が多数
圧倒的に多いのは、やはり「信用できない」という声です。



相場操縦で課徴金勧告を受けた企業に対して、まともな投資家なら当然の反応でしょう。
「コンプライアンス意識が低すぎる」「ひと足早い、クリスマスプレゼントありがとう(皮肉)」といった辛辣なコメントが並びます。
また、度重なる増資や新株予約権の発行で株式の価値が希薄化するケースから、「クソ株」という不名誉なレッテルを貼られることも少なくありません。
長期保有の対象としてフィスコを見ている個人投資家は、極めて少数派といえるでしょう。
悪材料は出尽くしてチャンスという声も
一方で、株式市場には「人の行く裏に道あり花の山」という言葉があります。



これだけの悪材料が出尽くしたことで、「今の底値は逆にチャンスではないか」と見る挑戦者も存在します。
また、フィスコ株は時折、暗号資産(仮想通貨)関連のニュースに反応して突発的に急騰するクセがあります。
そのため、企業価値を信じて投資するのではなく、日々の値動きを楽しむための「おもちゃ」として、デイトレーダーたちからは一定の人気(?)を博しているのも事実です。
フィスコの株価予想・レポートは参考になるのか?投資情報としての評判
最後に、フィスコの本業である「投資情報」の質について検証します。
「フィスコの予想は当たるのか?」
これはすべての投資家の関心事ですが、ここにも構造的な問題が潜んでいます。
株価予想は当たらないと不評
残念ながら、フィスコの個別銘柄推奨に対する評判は芳しくありません。
「フィスコが推奨すると天井になる」「死神」など、散々な言われようです。
なぜこれほどまでにフィスコの株価予想は当たらないと言われるのでしょうか?
その理由は、フィスコのレポートの多くが、企業からお金をもらって書く「スポンサード・レポート」だからです。
お金を払ってくれるクライアント企業を「売り」と酷評することはできませんから、どうしても論調は「強気」「買い」に偏ります。
これを中立的な予想だと勘違いして買うと、痛い目を見ることになるのです。
フィスコの推奨は、話半分どころか「広告」として割り引いて聞くのが正解といえそうです。
アナリストレポートは情報収集に役立つという声が多い
予想は当たりませんが、レポートそのものが無価値かというと、そうではありません。
むしろ「情報収集ツール」としては非常に優秀だという声も多いのです。
とくに、情報の少ない中小型株について、事業内容や市場環境を詳しく分析したレポートは貴重といえます。
初心者にとってもわかりやすくまとめられており、銘柄発掘の「きっかけ」や、知らない企業を知るための「辞書」として使える便利さを重宝する人が多いようです。
【まとめ】フィスコはどう利用すべきなのか?
さて、結論です。
- フィスコ株は投資対象として非常にリスクが高い
- しかしフィスコのレポートは情報収集ツールとしては一定の価値がある
- 株もコインも「買う」のではなく、「読む」存在
フィスコについて「やばいか?」と聞かれたら、こう答えます。
「使い方を間違えたら、確実にやばい」。
賢い投資家である私たちがすべきことは1つです。
フィスコの株やコインには手を出さず、フィスコが提供するニュースやレポートの「事実部分だけ」を無料で享受することです。
適度な距離感を保ちながら、この巨大な情報インフラを使い倒すことこそが、最も賢いフィスコとの付き合い方といえそうです。
※本記事内で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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