2026年以降もインフレが定着しつつあるであろう日本では、資産の目減りを防ぐためにも「お金に働いてもらう」ことの重要性が増しています。
そこで多くの投資家が熱い視線を送るのが「高配当株」です。
株を保有しているだけで定期的に現金が入ってくる配当という仕組みは、将来の不安を和らげる強力な武器となります。
特にNISAの非課税メリットを活かせば、その効果は絶大です。
しかし、単に配当利回りが高い銘柄に飛びつくのは危険と言わざるを得ません。
中には業績悪化で株価が下がり、見かけ上の利回りが高くなっているだけの「買ってはいけない高配当株」も存在するからです。
本記事では、2026年版の長期保有にふさわしい高配当株の選び方と注目の5銘柄を徹底解説します。
安定的に稼げる!「本物の高配当株」の選び方
株式市場には、配当利回りが4%や5%を超える銘柄が数多く存在します。
しかし、そのすべての銘柄が「買い」であるとは限りません。
高い配当利回りの裏には、企業が抱えるリスクが隠されている場合があるからです。
ここでは、不安定な相場環境でも勝ち抜ける、本物の高配当株を見極める3つのポイントを解説します。
表面的な利回りに騙されない:「高配当の罠」を見抜く
高配当株を探す際、真っ先に目が行くのが「配当利回りランキング」でしょう。
しかし、配当利回りの数字の高さだけで判断するのは、典型的な失敗パターンです。
なぜなら、配当利回りは1株あたりの配当金を株価で割って計算されるため、分母である株価が暴落すれば、計算上の利回りは跳ね上がるからです。
配当利回りを見て「割安」と勘違いして銘柄を購入すると、その後に待っているのは減配や無配の発表、そしてさらなる株価の下落です。
また、創立記念などでその年だけ特別に出される「記念配当」にも注意が必要です。
翌年には通常の配当に戻り、利回りが大きく下がるケースが少なくありません。
まずは「なぜ配当利回りが高いのか?」を疑い、株価チャートと業績の推移を確認する癖をつけましょう。
「連続増配」こそ最強の指標:株主還元の本気度
長期保有を前提とするなら、現時点の配当利回りと同じくらい重視すべきなのが「連続増配」の実績です。
連続増配とは、毎年配当金を増やし続けていることを指します。
配当を毎年増やせるということは、それだけ企業が長期的に利益を成長させている証拠に他なりません。
また、株主への還元意識が非常に高い経営陣であることの裏付けでもあります。
仮に銘柄購入時の配当利回りが3%程度だったとしても、企業が毎年増配を続けてくれれば、取得単価に対する利回りは4%、5%と年々上昇していきます。
インフレ局面では現金の価値が下がるリスクがありますが、増配銘柄を持っていれば、物価上昇に合わせて配当金も増えるため、資産の実質的な価値を守ることができます。
配当性向と財務の健全性をチェック:企業が無理をしていないか
いくら配当金が高くても、企業が無理をして支払っている状態は長続きしません。
そこで確認したいのが「配当性向」です。
配当性向とは、企業の利益のうち、どれくらいを配当金に回しているかを示す指標です。
一般的に、配当性向が30〜50%程度であれば健全な水準といえます。
逆に、これが80%や100%を超えている場合、利益のほとんど、あるいは利益以上に配当を出している「タコ足配当」の状態であり、これ以上の増配余地はほとんどありません。
少しでも業績が傾けば、即座に減配されるリスクが高いと判断すべきでしょう。
また、借金が少なく、手元資金が潤沢な企業であれば、一時的な不況で業績が落ち込んでも、内部留保を取り崩して配当を維持する余力があります。
高配当株銘柄を探す際には、財務の健全性をチェックすることが非常に重要です。
利益を最大化する!高配当株の「買い時」と「買い方」
高配当株選びと同じくらい、いや、それ以上に投資成果を左右するのが「いつ」「どのように」買うかという戦略です。
どれほど素晴らしい「最強高配当株」であっても、高値づかみをしてしまえば、含み損のストレスに耐えきれず、配当を受け取る前に手放してしまうことになりかねません。
ここでは、高配当銘柄の利益を最大化するために知っておくべき、賢いエントリー(購入)タイミングをお伝えします。
高配当株のベストな「買い時」:権利付き最終日には要注意
投資初心者が最も陥りやすい罠が、「配当金が欲しいから」と、権利確定日の直前に慌てて購入することです。
確かに、権利付き最終日に株を保有していれば配当を受け取る権利は得られます。
しかし、その翌日(権利落ち日)には、配当金の分だけ理論的に株価が下落する「配当落ち」が発生するのが一般的です。
さらに、権利取りの買いが殺到して株価が割高になっているケースも多く、配当を受け取っても、それ以上に株価が下がってトータルで損をする「配当損」になるリスクが高まります。
したがって、「権利落ち日」の直後や、権利確定から数ヶ月離れた閑散期こそが、冷静に安く仕込める狙い目といえるでしょう。
また、真の絶好機は株式市場全体が暴落した時に訪れます。
相場が総悲観になり、優良株まで十把一絡げに売られている局面です。
株価が下がれば、計算上の配当利回りは上昇します。
平常時に配当利回り3%だった銘柄が、暴落によって4%、5%になったタイミングこそ、勇気を持って買い向かう「逆張り」の発想が、将来の大きなリターンを生むのです。
長期保有を前提とした買い方:時間を味方につける分散投資
一度に資金を投入する「一括投資」は、高配当株投資においてはあまりおすすめできません。
銘柄の購入直後に株価が暴落すれば、精神的なダメージは計り知れません。
そこでおすすめしたいのが、購入時期を分散させる「時間分散」のテクニックです。
例えば、100万円の資金があるなら、一度に全額買うのではなく、20万円程度ずつ5回に分けて購入するといった方法です。
株価が高い時は少なく買い、安い時は多く買うことができるため、平均取得単価を平準化させる効果が期待でき、高値づかみによる配当利回りの低下を回避できる可能性が高まります。
【2026年注目】NISA利用におすすめ「最強高配当株」5銘柄
ここからは、NISAでも投資できる日本の優良高配当株を5つ紹介します。
選定基準は、単に「今の配当利回りが高い」だけではありません。
「連続増配の実績」「ビジネスモデルの堅牢さ」「株主還元の積極性」を重視し、長期保有に耐え得る銘柄を厳選しました。
もちろん、完璧な銘柄は存在しませんので、各企業のリスクも隠さず解説します。
自分自身の許容リスクと照らし合わせて検討してください。
KDDI(9433):通信インフラの巨人、連続増配の安心感
| 株価 | 2,675円 |
| 時価総額 | 11兆2,024億円 |
| 配当利回り | 2.99% |
| PER(連) | 13.93倍 |
| PBR(連) | 2.05倍 |
| ROE(連) | 13.21% |

東証プライム市場
出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月5日時点
KDDIは言わずと知れた国内通信キャリアの大手です。
KDDIの最大の魅力は、なんといっても「20期以上連続増配」という圧倒的な実績でしょう。
通信事業は、景気に左右されにくいストックビジネスの代表格です。
一度契約すれば毎月定額の収入が入る仕組みは強力で、稼ぎ出した潤沢なキャッシュを配当や自社株買いに回す余力があります。
巨額の資本をバックに、ITや金融など事業の多角化に積極的で、グループとしての事業ポートフォリオ分散が進んでいる点も、経営の安定という面では評価できます。
ただし、国内の通信市場はすでに飽和状態にあり、契約者数の爆発的な伸びは期待できません。
競争が激化する市場で、政府による値下げ圧力といった政治的リスクもくすぶっています。
また、2024年には株主優待制度の変更が行われ、人気のあったカタログギフトが廃止され、自社関連サービスからの選択に変更されています。
積水ハウス(1928):米国事業が牽引する住宅トップメーカー
| 株価 | 3,333円 |
| 時価総額 | 2兆2,101億円 |
| 配当利回り | 4.32% |
| PER(連) | 9.31倍 |
| PBR(連) | 1.12倍 |
| ROE(連) | 11.71% |

東証プライム市場
出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月5日時点
積水ハウスは戸建て住宅で国内トップクラスのシェアを誇るハウスメーカーです。
積水ハウスの強みは、国内だけでなく、アメリカを中心とした海外事業が大きく成長している点にあります。
「海外で稼ぐ力」を持っていることは、円安傾向が続く日本経済において大きなアドバンテージです。
株主還元についても非常に積極的です。
中期経営計画では、配当性向40%以上を掲げており、さらに「機動的な自社株買い」も実施しています。
単なる建設会社ではなく、安定した高配当銘柄として、国内外の機関投資家からも高く評価されています。
住宅業界にとっては「金利上昇」がリスク要因です。
2026年にかけて日本の住宅ローンの金利がさらに上昇すれば、住宅購入マインドが冷え込み、国内の受注が減少するおそれがあります。
また、海外事業への依存度が高まっている分、米国経済のリセッション(景気後退)入りや、為替変動による業績ブレのリスクも高まっている点は考慮すべきでしょう。
野村不動産ホールディングス(3231):高い還元意欲が魅力の不動産株
| 株価 | 918.2円 |
| 時価総額 | 8,428億円 |
| 配当利回り | 3.92% |
| PER(連) | 10.52倍 |
| PBR(連) | 1.05倍 |
| ROE(連) | 10.39% |

東証プライム市場
出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月5日時点
野村不動産ホールディングスはマンションブランド「プラウド」で知られる総合不動産会社です。
特筆すべきは、その株主還元へのコミットメントの高さです。
配当性向だけでなく、自社株買いを含めた「総還元性向」を重要な指標として掲げており、利益の多くを株主に返す姿勢を鮮明にしています。
インフレ時代において、実物資産である不動産を扱う企業は、資産価値の上昇メリットを享受しやすいセクターです。
前述の積水ハウスと同様に、不動産セクターは金利の上昇がリスク要因です。
日銀の利上げによって借入コストが増加すれば、利益率が悪化する可能性があります。
三菱HCキャピタル(8593):26年連続増配!高配当投資家の大人気銘柄
| 株価 | 1,240円 |
| 時価総額 | 1兆8,189億円 |
| 配当利回り | 3.63% |
| PER(連) | 11.13倍 |
| PBR(連) | 0.97倍 |
| ROE(連) | 7.78% |

東証プライム市場
出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月5日時点
三菱HCキャピタルはリース業界の最大手であり、高配当株投資家からは人気の高い銘柄です。
その理由は、日本株の中でトップクラスの「連続増配記録」を保持していることに尽きます。
26年も連続増配を続けている事実は、経営の安定性と株主重視の姿勢の証明であり、日本の高配当銘柄の代表的存在ともいえます。
3.63%の配当利回りは、同じく連続増配記録で知られる「花王(4452)」の2.48%と比べて高く、1,000円台前半の株価も個人投資家には手がけやすい水準です(2025年12月5日時点)。
リース事業だけでなく、航空機エンジンや再生可能エネルギー、不動産など、グローバルに事業を多角化しています。
なお、リース業は金融の一種であるため、景気後退や金利上昇の影響を受けやすい構造にあります。
世界経済がリセッション入りした場合、顧客企業の設備投資意欲が減退し、業績が低迷するリスクがあります。
サンドラッグ(9989):高収益と増配を続けるドラッグストアの雄
| 株価 | 4,253円 |
| 時価総額 | 5,075億円 |
| 配当利回り | 3.08% |
| PER(連) | 15.69倍 |
| PBR(連) | 1.79倍 |
| ROE(連) | 11.76% |

東証プライム市場
出所:Yahoo!ファイナンス 2025年12月5日時点
ドラッグストア業界において、トップクラスの収益性を誇るのがサンドラッグです。
薬局事業だけでなく、ディスカウントストア「ダイレックス」が絶好調で、食品と医薬品の併売による集客力が大きな強みとなっています。
実質無借金経営という盤石な財務基盤を背景に、連続増配を継続している点も、長期投資家にとって非常に魅力的といえるでしょう。
一方で、業界内の競争激化は懸念材料です。
大手チェーン同士の出店競争や、物価高に伴う消費者の節約志向、さらには人件費の上昇が利益率を圧迫するリスクについては注視が必要です。
知っておきたい「高配当株投資」の2つの注意点
ここまで高配当株の魅力をお伝えしてきましたが、投資である以上絶対に儲かる方法は存在しません。
安易な気持ちで資金を投じると、思わぬ落とし穴にはまる危険性があります。
ここから、高配当株投資を行う際に、自分の資産を守るために必ず知っておくべき注意点を2つお伝えします。
【1】「減配」と「株価下落」によるダブルパンチのリスク
高配当株投資家にとっての悪夢、それは業績悪化による「減配(配当が減る)」や「無配(配当がなくなる)」への転落です。
企業が減配を発表すると、市場からは「経営状況が悪化した」「将来性がない」と判断され、失望売りが殺到します。
その結果、株価も急落するのが一般的です。
つまり、「受け取る配当金が減る」だけでなく、「保有している株の価値も下がる」という往復ビンタのようなダブルパンチを食らうことになるのです。
特に、記事の前半で触れたような「見せかけの高利回り株」に飛びついてしまうと、この最悪のシナリオに巻き込まれる確率が格段に高まります。
だからこそ、目先の配当利回りよりも「連続増配」や「財務の健全性」を重視しなければなりません。
【2】NISA口座は損益通算ができない
NISAは投資の利益が非課税になる優れた制度ですが、損失が出た場合にはデメリットが生じる側面があります。
通常の課税口座(特定口座など)であれば、株を売って損失が出ても、他の利益と相殺(損益通算)して税金を安くすることができます。
しかし、NISA口座ではこの損益通算ができません。
NISA枠で購入した高配当株が下落して含み損を抱えた場合、「売れば単なる損失(税制メリットなし)」となり、「持ち続ければ資金が拘束される(塩漬け)」という非常に苦しい判断を迫られます。
損失が出ても許容できる範囲の金額で投資を行うこと、そして1つの銘柄に依存しない分散投資が、相場を生き残る命綱となるでしょう。
【まとめ】高配当株で不労所得の基盤作り
2026年以降の投資環境は、インフレの定着や金利の上昇など、決して平坦な道のりではないかもしれません。
しかし、今回紹介したような「稼ぐ力」と「株主還元への意志」を持った優良企業の高配当株は、インフレ時代における有効な防衛策となるはずです。
配当は、再投資することで資産を雪だるま式に増やす複利のエンジンになりますし、時には自分へのご褒美として使うことで、日々の生活を潤す「心の安定剤」にもなります。
重要なのは、目先の株価の変動に一喜一憂せず、長期的な視点でコツコツと保有数を積み上げていくことです。
NISAという優れた非課税制度も賢く活用して、高配当株で不労所得の基盤作りを始めましょう。
※本記事内で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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