世界中の投資家から注目を集めているエヌビディア(NVDA)の決算発表ですが、その決算内容は揺るぎない強さを示すものでした。
米国の半導体大手企業エヌビディアが2025年11月19日に発表した2025年8~10月期の決算では、売上高、純利益とも四半期決算ベースでは過去最高を更新しました。
この記事では、今回のエヌビディアの決算内容と、その後のエヌビディア株の推移や今後の見通しを解説するとともに、エヌビディア以外にも他業種で注目したい決算良好の米国株を2銘柄、ご紹介します。
エヌビディアはAIコンピューティングで世界をリードしている
エヌビディア(NVIDIA)は、AI(人工知能)半導体の1つである3次元(3D)グラフィックスプロセッサー(GPU)と関連ソフトウエアの設計・開発・販売をする会社です。
GPU(画像処理装置)で世界最大手のファブレスメーカー(自社で生産設備を持たず、外注先に100%製造委託しているメーカー)で、世界最大の専業半導体ファンドリー(他社からの委託で請け負う製造専業の半導体メーカー)であるTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)に生産を委託しています。
エヌビディアが提供するデータセンター向けGPUは、「Chat GPT」(OpenAI)などの生成AIの開発に必要な大量のデータ処理に使用されています。
エヌビディアは、米国を代表するテクノロジー企業7社である「マグニフィセント・セブン」(アルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディア)を構成する銘柄としても知られます。
エヌビディアの2025年8~10月期は売上高、純利益が過去最高
エヌビディアは、売上高が前年同期比62%増の570億600万ドル(約8兆8,360億円)、純利益が65%増の319億1,000万ドル(約4兆9,460億円)で、売上高、純利益とも四半期ベースで過去最高になりました(図表1)。

世界中でAIインフラ投資が加速するなか、エヌビディアではデータセンター事業の売上高が過去最高の512億ドル(約7兆9,360億円)となり、第2四半期から25%増、前年同期比では66%増と驚異的な伸びを示しています。
なかでも、最新のデータセンター向けAI半導体「ブラックウェル」の販売が成長を牽引しています。
エヌビディアは2025年11月~2026年1月の四半期の業績について、売上高は650億ドル(約10兆750億円)になるという見通しを発表しています。
エヌビディアの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏は、
「私たちはAIの好循環に入りました。AIエコシステムは急速に拡大しており、新たな基盤モデルメーカーやAIスタートアップ企業が増え、より多くの業界や国で活用されています」
と述べており、AI技術をビジネスの根幹に据えるための世界的な投資ブームが続くだろうことを示唆しています。
AI投資は過剰な期待によって引き起こされたバブルの状態ではなく、「私たちは全く異なる状況を見ている」(フアン氏)としています。
決算発表後のエヌビディア株の下落基調が続く「重要な理由」
2025年8月~10月期の決算が好調だったエヌビディアですが、株価はどう推移しているのでしょうか?
2025年8月~10月期の決算が発表された11月19日には上昇する場面もありましたが、11月26日の時点では下げ基調にあります(図表2-1、図表2-2)。


この背景には、2025年11月24日にアメリカのテクノロジーに特化したオンライン経済メディア「The Information」が、メタがグーグルのAI向け半導体に数十億ドル規模の投資を検討していると報道したことも影響しているようです。
この報道によると、メタは2027年に自社データセンターでグーグルが提供するTensor Processing Unit(TPU)を活用することを検討しているとしています。
世界的な潮流として、今後もAIインフラ投資は続く可能性が高そうですが、エヌビディアの一人勝ちが続くかどうかは、正直読めないところもありそうです。
米国経済の先行きは不透明な中、エヌビディア株はどうなる?
エヌビディアの株価下落には、米国の実質GDP(国内総生産)成長率を見てのとおり、米国経済の先行きが不透明なことも影響しているかもしれません(図表3)。

米国で最も重要な経済指標の1つとされる「非農業部門雇用者数(雇用統計)」は、経済の好調・不調の目安とされる20万人を割り込んでいます(図表4)。

半導体業界全体の市況を反映するとされるSOX指数(PHLX Semiconductor Sector Index:フィラデルフィア半導体株指数)も下落しています(図表5)。

SOX指数とは、米国の株式市場に上場する主要な半導体関連の30銘柄で構成されている株価指数です。
SOX指数が上昇しているときには半導体セクター全般が好調と考えられ、関連銘柄は買われる傾向があります。
一方で、SOX指数が下落しているときには半導体セクター全般が軟調とされ、関連銘柄も売られる傾向があります。
この先もエヌビディアの成長が続くと考えるのであれば、株価が下落している局面は、エヌビディア株に投資する好機ともいえるのかもしれません。
テック株と異なる値動きをする他業種の銘柄にも注目
下記の図表6は、2025年11月26日時点での米国株の時価総額上位ランキングです。
上位には「マグニフィセント・セブン」など、IT・通信関連のテック銘柄が並びます。
その一方で、11位には製薬企業の「イーライリリー・アンド・カンパニー」、12位は小売り企業の「ウォルマート」が登場しています。
製薬関連や小売り関連の銘柄は、テック銘柄とは異なる値動きをする傾向があるため、これらの銘柄を保有することでポートフォリオ全体のリスクを軽減する効果が期待できる可能性があります。
イーライリリー・アンド・カンパニー(LLY):研究開発能力に強み
11位のイーライリリー・アンド・カンパニー(LLY)は、米国のインディアナ州インディアナポリスに本社を置く、グローバルな研究開発型製薬会社です(図表7-1)。

1876年にイーライリリー大佐が設立し、「研究開発こそ企業の魂」という理念のもとに医薬品を開発し続けています。
イーライリリーは1923年に世界で初めてインスリン製剤の大量生産に成功したことで知られています。
2024年時点では8カ国に研究所を持ち、105カ国に製品を供給しています。
イーライリリーは、1つの分野に特化する製薬企業とは異なり、糖尿病やがん、免疫学、神経科学など複数の治療領域にまたがる製品ポートフォリオを持つことに強みがあります。
また、強力な研究開発(R&D)能力もイーライリリーの大きな強みです。
イーライリリーの肥満治療薬やアルツハイマー病の新薬に注目が集まる
イーライリリーの主力製品は糖尿病治療薬「マンジャロ」と肥満治療薬「ゼップバウンド」ですが、2025年10月31日に発表された2026年度第3四半期決算では、合計売上高が市場予想を約13億ドル(約2,015億円)も上回りました。
将来性の高い分野として、肥満治療薬やアルツハイマー病の治療薬が注目されています。
2024年9月に日本で承認された早期アルツハイマー病治療薬「ケサンラ(ドナネマブ)」や、経口タイプの肥満症・糖尿病治療薬として2025年中の日本での承認申請を目指す「オルフォルグリプロン」や、肥満症治療薬「ゼップバウンド」などの新薬があります。
ウォルマート(WMT):世界最大の小売りチェーン
12位のウォルマート(WMT)は、世界最大の小売りチェーンです(図表7-2)。

大型ディスカウントストアの形態で知られ、創業当初から「エブリデー・ロープライス」を掲げ、徹底したローコスト経営で成長しました。
大型スーパー「ウォルマート」のほか、会員制量販店「サムズクラブ」、EC事業について米国を中心にカナダやメキシコ、中国、インドなど19カ国展開しており、小売店舗は1万店を超えています。
幅広い品ぞろえの高品質な商品とサービスを低価格で提供することにウォルマートの強みがあります。
ウォルマートが11月20日に発表した2025年8〜10月期決算は、売上高が前年同期比5%増の1794億9600万ドル(約27兆8219億円)、純利益は34%増の61億4300万ドル(約9522億円)となりました。
また、既存店の売上高は4.5%増加し、来店客数は14四半期連続で増加したといいます。
好調な業績についてウォルマートのジョン・デービッド・レイニー最高財務責任者(CFO)は、「低価格維持に努めているためだ」とし、トランプ関税の影響については関税引き上げ分を自社で吸収し、一部は価格に転嫁したことで「影響は一部の予想よりも小さい」としています。
ウォルマートは上場先をナスダックに変更
ウォルマートではテクノロジー重視の姿勢を鮮明にし、「AIファースト」の標語を掲げています。
2025年10月にはウォルマートはOpenAIとの提携を発表しています。
「ウォルマート」や「サムズクラブ」の会員が、対話型人工知能(AI)「ChatGPT」上で商品を閲覧し、「購入」ボタンをクリックするだけで商品を購入できるシステムを作ることで、利用者の利便性を向上することに加えて、AIによる消費需要の創出にもつなげる計画のようです。
AIを活用して商品カタログを強化する予定で、商品カタログには「ウォルマート」や「サムズクラブ」の衣料品や娯楽品、加工食品などが掲載されるものの、生鮮食品は対象外となる見込みだといいます。
上記の新機能は2025年秋中に開始される予定です。
ウォルマートは上場先をニューヨーク証券取引所から、ナスダックに移行することも発表しています。
これはテクノロジー重視の姿勢を反映したもので、2025年12月9日からナスダックでの取引が始まります。
なお、ナスダックへの移行後もティッカーのシンボルは「WMT」を維持します。
エヌビディアを始めとするテック銘柄の下落局面は、今後の成長が期待できそうなテック銘柄を仕込むタイミングを見極める局面であると同時に、余裕資金の一部で製薬や小売りなどのディフェンシブ銘柄をポートフォリオに組み込む機会といえるかもしれません。
※本記事内で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。


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