「『投資のソムリエ』を銀行で勧められて買ったら大幅下落…」
「安定運用で守りに強いって言われたのに、蓋を開けてみれば元本割れした…」
ネットでは「最悪」「やばい」といった罵詈雑言の嵐で、散々な言われようとなっているのが、今の「投資のソムリエ」というファンドです。
結論から言うと、「投資のソムリエ」の基準価額の下落は不運ではなく、構造的な敗北です。
「インフレ・金利上昇」という今の時代に、ファンドの「守りの仕組み」が致命的に合っていません。
本記事では、以下の3点を徹底解剖しています。
- 投資のソムリエがなぜここまで下落したのか(根本原因)
- 2025年の最新見通しと、起死回生の回復はあるのか
- 「損切り」か「保有(塩漬け)」かの判断基準
銀行員や販売会社が言いにくい「不都合な真実」を忖度なく伝えますので、この記事を読み終えるころには「どう動けばいいか」が明確になっているはずです。
「投資のソムリエ」とは?仕組みと特徴を理解する
まずは「投資のソムリエ」がどんなファンドか、確認していきましょう。
アセットマネジメントOneが運用するバランス型ファンド
投資のソムリエは、国内大手の運用会社である「アセットマネジメントOne」が運用するバランス型ファンドです。
商品の基本的な概要は下記のとおりになります。
| 運用会社 | アセットマネジメントOne |
| 投資対象 | 国内外の株式・債券・REIT(8資産) |
| リターン(期間) | ・5年:-8.49% ・3年:+2.43% ・1年:+2.31% ※2025年11月24日時点 |
| 信託報酬 | 年率1.54%(税込)程度 |
| 信託財産留保額 | なし |
| 主な販売窓口 | みずほ銀行などの銀行、証券会社 |
アセットマネジメントOne自体は、公的年金の運用なども手がける超エリート運用会社で、決して怪しいところではありません。
ただ、エリートが作った「完璧な理論」が、泥臭い現実の相場で通用するとは限らないのが投資の難しいところです。
「ターゲット・ボラティリティ戦略」が特徴
投資のソムリエの最大の特徴が「ターゲット・ボラティリティ戦略」です。

ターゲット・ボラティリティ戦略とは、市場の変動(ボラティリティ)を常に監視し、相場が荒れそうになると自動的に資産を売却して「現金」に逃げる戦略の仕組みをいいます。
通常時は、株式や債券を持ってリターンを狙いますが、AIやアルゴリズムが「危険!」と判断すると、ポートフォリオの中身を素早く「現金」に入れ替えます。
コンセプト自体は素晴らしいです。
「下がるときは現金にして守り、上がるときだけ参加する」。
まるで後出しジャンケンのような必勝法に聞こえますね。
銀行員が「これなら安心ですよ」と売り込みやすかったのも頷けます。
しかし、この「完璧な守り」こそが、今回の悲劇を生んだのです。
投資のソムリエの基準価額が下落した3つの根本的な理由
なぜ、投資のソムリエの守りの要塞は崩壊したのでしょうか?
理由は大きく分けて3つあります。
【理由1】急落後に売ってしまう「キャッシュ・トラップ」の罠
投資のソムリエの最大の欠点は、「下がった直後に現金化する」というアルゴリズムの性質です。
市場が暴落するとボラティリティが急上昇し、それを検知してファンドは資産を売却します。
つまり、
暴落 →(数日遅れで)アルゴリズムが恐怖を検知→売却→損失が確定
となります。
さらに回復局面でも「怖いので現金のまま」という反応をするため、株式市場がV字回復しても、ファンドは蚊帳の外なのです。
これが「キャッシュ・トラップ(現金の罠)」です。
投資家たちが「上がってるのに全然増えない!」と嘆く理由はここにあります。
【理由2】金利上昇で債券と株が同時に下落した事実
投資のソムリエは、基本的には「分散投資」でリスクを抑える設計です。

「株が下がっても、債券が上がるから大丈夫」というのが、伝統的な金融理論の常識でした。
しかし、2022年に悪夢が…。
世界的なインフレ退治のために、各国の中央銀行が急速な利上げを行ったのです。
金利が上がると、債券価格は下がります。
そして、金利上昇を嫌気して株価も下がりました。
つまり、「株もダメ、頼みの綱の債券もダメ」という「逃げ場なし」の状態になったのです。
本来、株の損失をカバーしてくれるはずの債券までもが足を引っ張り、ダブルパンチを食らってしまいました。
【理由3】低インフレ時代に最適化されたモデルが機能しなくなった
結局のところ、投資のソムリエの設計思想は「デフレ・低金利時代」に作られたものです。
「金利は下がっていくもの」「株と債券は逆の動きをするもの」という、過去の平和な時代の前提条件が、インフレ時代への突入ですべて崩れ去りました。
以下のチャートを見てもわかるとおり、2020年までの「適温相場」では、この戦略はうまく機能していました。

しかし、インフレという荒波の中では、かつての成功モデルが逆にアダとなってしまったのです。
インフレ局面では「守りの投資」ほど実質的に資産が目減りする
2020年代は年2〜3%前後のインフレが常態化しつつあります。
ところが投資のソムリエの5年リターンはマイナス8.49%、10年リターンもプラス0.5%程度と低迷しています。
つまり「守ったつもりで実質的には削られていた」状況です。
名目では減っていなくても、物価が上がれば実質価値は下落します。
インフレ時代では「増やさない」ことが最大のリスクになり、ソムリエ型の守備的戦略は根本的に不利なのです。
「最悪・やばい」という声が多数?投資のソムリエの口コミ・評判
投資のソムリエのネット上の評判は、火を見るよりも明らかです。
元本割れで酷評の嵐
SNSを覗くと、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっています。
とくに、2020年以降の「コロナバブル」とその後の「インフレショック」の時期に購入した人たちの怒りは凄まじいものがあります。
「5年間保有してリターンがマイナス8.49%」という事実は、投資家心理をへし折るのに十分すぎる数字です。
「S&P500」や「オルカン」が最高値を更新し続けるなかで、自分のファンドだけが沈んでいくのを見るのは、精神的にかなりキツイものがあります。
手数料が高すぎるとの批判も
また、パフォーマンスが悪いときに際立つのが「手数料の高さ」です。
「利益が出ていないのに、しっかり高い信託報酬だけは差し引かれている」という事実に、投資家の不満は爆発しています。
加えてキャッシュ比率が高まる局面では、実質ほぼ預金状態なのにコストだけ取られるという悪循環が生まれ、コスト構造への批判が加速しています。
投資のソムリエの今後の見通し【基準価額は回復するのか?】
さて、これまで散々こき下ろすほかできませんでしたが、投資のソムリエの未来に希望はないのでしょうか?
実は、2025年後半に入り、少しだけ風向きが変わってきています。
金利低下局面で明るい兆し
投資のソムリエの直近6ヵ月(2025年11月24日時点)のパフォーマンスを見ると、プラス6.45%と回復の兆しを見せています。

これは、世界的な利上げサイクルがようやく終了し、金利が低下(債券価格が上昇)し始めたことが大きいです。
債券市場が落ち着きを取り戻せば、このファンドの「ボラティリティ判定」も正常化し、過剰な現金化が減ります。
本来の「安定運用」が機能しやすい環境が整いつつあるのです。
「ソフトランディング」なら年率3~4%程度のリターンで回復も期待
もし世界経済が、深刻な不況にならずにインフレが収まる「ソフトランディング(軟着陸)」に成功すれば、投資のソムリエにとっては追い風となります。
ボラティリティが低い「適温相場」こそ、投資のソムリエが最も得意とする環境だからです。
その場合、年率3〜4%程度のリターンで、じわじわと回復していくシナリオが描けます。
「爆益」は望めませんが、銀行預金よりはマシな成績に戻る可能性はあります。
インフレが進むなら「もう一段の下落」もあり得る
しかし、油断は禁物です。
もし再びインフレが燃え上がり(スタグフレーション)、中央銀行が利上げを余儀なくされれば、2022年の悪夢再びです。
金利急騰で債券が暴落し、システムがパニックを起こして底値で現金化する。
この「負の必勝パターン」が発動すれば、さらなる下落もあり得ます。
インフレ再燃リスクがある限り、このファンドは常に「爆弾」を抱えている状態だといえます。
投資のソムリエは売り時か?保有か?【タイプ別の最適解】
「で、結局どうすればいいの?」
その答えは、あなたの「投資の目的」と「性格」によって分かれます。
投資のソムリエをどうすればいいか、タイプ別にバッサリと判定しましょう。
損切り(売却)すべき投資家
以下のような人はささっと損切りすべき人です。
- 「とにかく増やしたい」人:インフレに勝つには力不足。全世界株式(オルカン)などの成長資産へ移るのが合理的
- 「5年でマイナス8%」が許せない人:過去のマイナスを取り戻すには、今のペースだとさらに数年かかります。時間を無駄にしたくないなら乗り換えを
- 運用期間が長い(10年以上)人:若い世代にこんなガチガチの守りは不要
保有継続すべき投資家
次のような人は保有を検討してもよいでしょう。
- メンタル最優先の人:「資産が大きく動くと夜も眠れない」という人にとって、投資のソムリエの現金化機能は高い手数料に見合うものかも
- 数年以内に資金を使う人:出口が近いなら、今から株100%にするのは危険。回復トレンドに乗って、基準価額が10,000円〜10,500円に戻るのを待って売るのが賢い「逃げ方」
【まとめ】投資のソムリエ下落の本質と、これからの賢い判断
投資のソムリエについてまとめると下記のとおりです。
- 「投資のソムリエ」の下落は、「インフレ時代の到来」に「デフレ時代のシステム」が対応できなかった構造的な敗北
- 「キャッシュ・トラップ(安値売り・高値休み)」と「株・債券同時安」が元本割れの主犯
- 2025年は金利低下で回復のチャンスだが、インフレ再燃なら再び地獄を見るリスクも
- 「増やす」ことが目的なら損切り、「大きく減らさない」ことが目的なら保有
「売れている」「銀行員が推奨している」という投資信託が、資産を増やしてくれるとは限りません。
投資のソムリエはその代表例だったのではないでしょうか。
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『投資のソムリエ』の口コミ
口コミ一覧