「天才投資家」「新世代の物言う株主」。
そんな華々しい賛辞を集める一方で、日本の金融当局から無登録営業に関する行政処分を受けた経歴も持つのが、投資家・坂本俊吾氏です。
さらにネット上では、坂本氏の名前とともに「BMキャピタル」や「ブラッククローバー社(Black Clover Limited)」といったヘッジファンドの名前もたびたび検索されています。
坂本氏とヘッジファンドとの関係性や実態はどこまで公にされているのでしょうか?
本記事では、坂本氏の経歴・実績と行政処分の内容について公開情報をもとに整理しつつ、「BMキャピタル」「ブラッククローバー社」がどのような運用会社なのかを徹底解説します。
ヘッジファンド投資のリスクとリアルを知るためのガイドとしてご活用ください。
「天才投資家」坂本俊吾とは?その経歴と人物像

まずは、坂本俊吾氏がどのような人物なのか、経歴から見ていきましょう。
東京大学卒・バークレイズ証券出身というエリートキャリア
坂本俊吾氏は1987年生まれ、福島県いわき市の出身です。
その経歴は、絵に描いたような「エリート」そのもの。
日本最高学府である東京大学を卒業後、英国が誇る大手投資銀行「バークレイズ証券」に勤務します。
バークレイズ証券といえば、世界的な金融機関であり、そこで培われた金融工学や企業分析のスキルが、後の坂本氏の活動の基盤となったことは想像に難くありません。
まさに、選ばれし者だけが進める王道を歩んできたわけです。
学生時代に起業し、早期から投資家として成功
坂本氏の投資家としての原点は大学時代。
坂本氏は在学中に起業し、その利益を元手に投資の世界へ足を踏み入れます。
また、「起業→利益→投資」という「資本の循環」を早期に理解し実行した点は、後のアクティビストとしての活動姿勢にもつながります。
つまり、「企業は資本を活かして成長すべきだ」という思想です。
投資の世界でいえば、若者が異常に早い段階で「資本家マインド」を身につけていたわけです。
ブラッククローバー社創業とオフショア戦略
バークレイズ証券でエリートとしてのキャリアを積んだ坂本氏は、2015年に独立します。
バークレイズ時代の同僚とともに、自身の資産運用会社「ブラッククローバー社(Black Clover Limited)」を設立しました。
ここからが坂本氏の「ユニーク」と評される戦略の始まりです。
坂本氏は、日本国内ではなく、タックスヘイブン(租税回避地)として名高いアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに最初の拠点を置きます。
その後、2019年からはアジアの金融ハブであるシンガポールに拠点を移しています。
なぜ、坂本氏はわざわざ海外に拠点を置いたのでしょうか?
表向きは、税制上の優位性やグローバルな投資活動のためでしょう。
しかし、この「オフショア戦略」こそが、後に日本の金融規制と真っ向から衝突する火種となるのです。
この時点では、それが輝かしい成功への近道に見えたのかもしれませんが…。
坂本俊吾がなぜ「天才投資家」と評価されたのか?
エリート経歴やオフショア戦略だけでは「天才」とは呼ばれません。
坂本俊吾氏がそう称賛されたのは、その「えげつない」とさえいえる投資手法と、それによって叩き出した「具体的な成果」にあります。
「バリュー投資×アクティビスト投資」のハイブリッド戦略
坂本氏の最大の武器は、割安株を買って黙って持つ「典型的なバリュー投資」ではありません。
企業価値を引き出すために積極的に経営陣へ提案を行う「アクティビスト投資」を融合させた点にあります。
これにより「割安株が勝手に上がる」のではなく「割安株を意図的に上げる」ことが可能になりました。
実際に坂本氏は、企業の財務指標・資本政策・余剰資産の状況まで徹底的に分析し、経営陣に対して増配や自社株買い、政策保有株の売却などを要求しています。
これが成功すれば株価は上がり、投資家として大きなリターンを得られます。
ファンドマネージャーとしての技術、交渉力、そして大胆さ。
これらが噛み合ったとき、坂本氏は市場において確かに「天才」と呼ばれる存在として輝きました。
企業価値を顕在化させる強力な株主提案
坂本氏のアクティビスト活動は、単なる「お願いベース」ではありません。
非常に強烈です。
- 臨時株主総会の招集請求
- 配当性向100%と自社株買い(=儲けを全部株主に還元しろ)
- 政策保有株式(持ち合い株式)の売却(=無駄な資産は売れ)
こうした提案は企業側には煙たがられる一方、株主にとっては極めて魅力的です。
なぜなら、企業側が折れれば現金が増え、配当が増え、株価が上がる可能性が高まるからです。
これらの提案の中には、否決されたものの後に経営陣が自主的に実行し、結果として株価上昇につながった事例も多数あります。
まさに戦いには負けたが、戦争には勝ったパターンです。
株価上昇・還元強化を実現した具体的な成果
坂本氏の「天才」の名を決定づけたのが、「新家工業(7305)」での事例です。
これは「完全な勝利」と評価されています。
2023年、坂本氏は新家工業の株式を5%超取得し、同様に資本効率の改善と配当拡大を要求します。
その後の展開は驚くべきものでした。
新家工業の経営陣は、坂本氏の要求をほぼ全面的に受け入れ、以下の施策を発表しました。
- 100%の総還元性向(=配当と自社株買いで儲けを全還元)
- 年間配当額は実質倍増
- 「年間100円の下限配当」方針の策定
これだけではありません。
坂本氏らの圧力によって刷新された新経営計画は、なんと「東京証券取引所(TSE)」自身が高く評価するほどの内容だったのです。
投資家からの反応も好評で、新家工業の株価は2023年初めの2,000円台から、4,500円付近まで上昇しています。

「村上世彰の再来」と言われる理由
株主還元を強力に要求し、企業の資本効率改善を迫る姿勢は、かつての「村上ファンド」に酷似しています。
現金を抱え込む企業に対して「株主のために使え」と迫る手法は、まさに村上世彰氏の再来といわれる所以です。
大胆な介入姿勢、数字に基づいた論理性、そして株価を動かす実効性。
これらが重なり、多くの投資家から「若き村上世彰」として注目される存在となりました。
「BMキャピタル」と坂本俊吾の関係は?
さて、坂本俊吾氏について調べると、必ずと言っていいほど「BMキャピタル」という名前がセットで登場します。
この章では、坂本氏とBMキャピタルとの関係性にメスを入れます。
BMキャピタルとは?
BMキャピタルは国内のヘッジファンドで、日本株を中心にバリュー投資を掲げ、10%前後の安定したリターンをアピールしているファンドです。
東京のオフィスを拠点とし、最低出資額1,000万円という「プロ向け私募ファンド」のような形態を持っています。
ネット上では「安定利回りの優良ファンド」と紹介される一方、「実態が不明で怪しい」という声も多い複雑な存在です。
坂本俊吾は中核人物かつファンドマネージャー
ネット上では、BMキャピタルの実質的な運営者が坂本氏である、という説が根強くあります。
理由は、投資方針の類似性、アクティビスト手法の一致、そしてブラッククローバー社との混同です。
ただし、前述について指摘しているのは、一般の投資家だけではなく、金融庁もです。
坂本氏自身が、BMキャピタルを「日本の出資窓口」的に利用していた可能性が高いといえそうです。
BMキャピタルは「ブラッククローバー社」の出資窓口
事実はこの構図です。
- BMキャピタル:日本国内の投資家向けの出資受け皿
- ブラッククローバー社:実際の運用主体(海外オフショア)

これこそが後に「無登録営業」として問題視されるスキームです。
構造としては「海外ファンドによる国内勧誘」の典型であり、金融庁が最も嫌う模式図そのものです。
SESC(証券取引等監視委員会)による行政処分の全貌
「天才」の名をほしいままにし、日本市場でその実力を見せつけてきた坂本俊吾氏。
しかし、坂本氏の快進撃は2025年、思わぬ形で急ブレーキがかかります。
日本の金融規制当局が「待った」をかけたのです。
ブラッククローバー社・坂本俊吾個人が「無登録営業」で処分
2025年4月、SESCはブラッククローバー社および坂本俊吾氏個人に対し、金融商品取引法違反(無登録営業)で「禁止・停止命令」の申立てを行いました。

これは単なる「指導」や「警告」ではありません。
裁判所の強制力をもって「お前たちのビジネスを今すぐ止めろ」と要求する、最後通牒に等しいものです。
そして2025年8月、東京地裁はこの申立てを認め、正式に業務停止・禁止命令が発令されました。
法人が処分されるのはもちろんですが、「坂本俊吾個人」も名指しで対象となった点が、事態の深刻さを物語っています。
裁判所が下した「業務停止・禁止命令」の内容
問題視されたのは、海外法人であるブラッククローバー社が、日本で投資家を勧誘し、運用契約を結んでいた点です。
これは日本の金融商品取引法(金商法)上「投資運用業」に該当し、本来は金融庁への登録が必須です。
しかし坂本氏は登録せずにこれを行っていたため、裁判所は完全アウトの判断を下しました。
坂本氏がとったオフショア戦略、すなわちドバイやシンガポールに拠点を置くという手法。
それは一見、日本の法律を回避しているように見えました。
しかし、日本の金商法は、たとえ海外に拠点があっても、日本国内の投資家を相手に商売をする(勧誘や契約をする)のであれば、日本の登録が必要であると定めています。
結果として、坂本氏の戦略そのものが、「違法な無登録営業」であると規制当局によって断罪されたのです。
皮肉なことに、坂本氏が法的問題を回避するために取った(と見られる)戦略こそが、坂本氏自身の法的問題の根幹となってしまいました。
坂本俊吾に対するネット・SNS上の口コミと評判
ネットやSNS上の口コミを覗いてみると、残念ながら坂本俊吾氏に対するポジティブな評判はほぼ見当たりません。
とくに2025年の行政処分以降は、ネガティブな口コミがほとんどを占めているようです。
行政処分を受けたことで評価は地に落ち、「怪しい」「やばい」「詐欺では?」という声が中心となっています。
また、先述したとおり、BMキャピタルについても「昔から詐欺といわれていた」「出金できない」などの火のないところに煙が出すぎな口コミが大量にあります。
実績を冷静に見れば、坂本氏が相当な投資能力を持つ人物であることは疑いようがありません。
しかし、法律違反はそれ以上に強烈で、SNSはその1点で炎上し続けています。
【まとめ】坂本俊吾の「実力」と「リスク」をどう評価すべき?
最後に、「坂本俊吾」という投資家をどう評価すべきか、まとめてみましょう。
1つ確かなことは、坂本氏が「天才」と言ってもよいほどのアクティビストであるという点です。
坂本氏が新家工業などで実現した株主還元の強化は、他の株主にとっても大きな利益となりました。
しかし同時に、その輝かしい活動は、「日本の金融規制を逸脱していた」という厳然たる事実も存在します。
当局は坂本氏を「天才アクティビスト」ではなく、「違法な無登録業者」として厳格に判断しました。
投資の世界では「結果が全て」という側面もあります。
しかし、どれだけ優れたリターンを生み出す手法であっても、それが法律の枠外で行われて良いということにはなりません。
少なくとも2025年の行政処分によって、坂本氏は「要注意人物」のリストに名を連ねることになりました。
それが客観的な「今」であることは、間違いなさそうです。
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